東京都内でちょっとしたタイムスリップ気分が味わえるスポット、「深川江戸資料館」をご紹介します。雨の日のお出かけや、お子さん連れでのお出かけにもおすすめ!
ぶらり散歩が楽しい「深川」エリア
東京都江東区の「深川(ふかがわ)」と呼ばれる地域は、420年ほど前までは葦の生い茂る荒地で、住む人もいなかったそう。江戸時代(慶長年間)に深川八郎右衛門によって開拓され、その後多くの人々が移住したことで賑やかな町になったといいます。
関東大震災や東京大空襲の被害に遭い、古い建物の多くが消失してしまったものの、下町っぽさは今でも健在。ここ数年は「ブルーボトルコーヒー」をはじめ、倉庫を改装したお洒落なロースタリーカフェが次々オープンするなど、古さと新しさが調和した面白いエリアです。
そんな深川エリアをぶらぶら散策していると、外国人観光客らしき方々が吸い込まれるように入っていく施設を発見。清澄白河駅から徒歩3分ほどの「深川江戸資料館」です。
気になったので私も入ってみることにしました。
江戸の町並みをリアルに再現!「深川江戸資料館」
「深川江戸資料館」の展示室入場料は、大人400円 / 小・中学生50円 と良心的。さらに、常設展示は写真撮影もOKだそうです!(※三脚を立てての撮影は禁止。)
入ってすぐの展示は、江戸時代の子どもたちの遊びに関する資料や、この地域にまつわる出来事の年表など。興味深い内容ですが、外国人観光客の方々はこの展示を観に来ているわけではなさそう...?
そう思いながら奥に進んで角を曲がると、
小さな町が現れました......!
ここでは、江戸時代後期(天保年間ごろ)の深川佐賀町の町並みが、実物大で再現されているそうです。「火の用心」という声が聞こえてきたり、照明で時間の移り変わりが表現されていたりと、けっこう本格的!
(屋根でくつろいでいる猫がときどき鳴くのが可愛い。)
見て、触れて、体験して 江戸時代にタイムスリップ!
下の階へおりると、そこはもう江戸の町。
再現された町並みを眺めるだけでなく、建物内に入ったり、小物を手にとって触ってみたりすることもでき、本当に江戸時代の深川に迷い込んでしまったかのような気分が味わえます。古くなっている小道具もあるので、壊してしまわないように気を付けながら見学させていただきましょう。
▲ つき米屋
こちらは、米問屋から米を仕入れ、精米したものを庶民に売っていた “つき米屋” の建物を再現したもの。精米の器械を体験することができますよ。
▲ 船宿
▲ 猪牙舟
川まで再現されていて驚きました。
船宿のそばに浮かんでいるのは「猪牙舟(ちょきぶね)」と言って、江戸市中の河川で使われていた小舟。水上タクシーのような役割を果たしていたそう。
▲ 長屋
江戸時代の庶民の家といえば、細長い建物を壁で仕切っただけの「長屋」。パンフレットによると、“ここでは下の5家族が暮らしています” とのこと。
・棒手振の政助
・つき米屋の職人、秀次(妻と小さなこどもの3人暮らし)
・船宿の船頭、松次郎
・三味線の師匠、於し津
・木場の木挽職人、大吉(妻と2人暮らし)
住人の職業や家族構成、そして名前まで! 設定が細かすぎませんか?(笑) 室内には住人の職業に合わせた小物が置かれていて、かなりイメージが膨らみました。
▲ 井戸と稲荷社(長屋の共同スペース)
▲ ごみ溜めとトイレ(長屋の共同スペース)
当時の共同トイレや井戸など、長屋の住人の共同スペースも再現されています。
共同トイレは扉を開けて中に入ることも可能。(※床の穴に気を付けて!) 扉が下半分しか無いため、近づいて上から覗くと丸見えです...。当時はこんな感じだったのかと驚くとともに、現代の日本のトイレ環境に感謝の気持ちが芽生えました。
このほか、八百屋や土蔵、天ぷらの屋台なども再現されていました。そんなに広くはない展示スペースですが、こだわりがたっぷり詰まっています!
意外だったのは、資料館にありがちな説明パネル等がほとんど見当たらないこと。展示内容の説明は、入り口に置いてあるパンフレットに書かれているほか、はっぴを着たボランティアスタッフの方に尋ねると丁寧に解説してくださいますよ。
ちなみに、パンフレットは多言語に対応し、ボランティアスタッフの方々は英語での解説もされていました。外国人観光客に人気があるのも納得!
江戸時代の漁師めしがルーツ!「深川めし」を食べて帰ろう
せっかく深川に来たので、資料館向かいのお店「深川宿 本店」で「深川めし」を食べることに。石原さとみさんが出演している東京メトロのCMでもお馴染みの名物グルメです!(※CMで紹介されたのは本店ではなく富岡八幡店。)
他のお客さんと一緒に囲炉裏を囲みながら、いただきます!
「深川めし」にはぶっかけタイプと炊き込みタイプの2種類があり、こちらのお店の「辰巳好み」(2,150円)というセットでは2種類を食べ比べることができますよ。
「深川めし」のルーツと言われるぶっかけタイプは、もともと江戸時代の漁師たちの賄い飯だったそう。
店員さんが、「ぶっかけは熱いうちに食べてね」と声をかけてくださいました。時間が経つとお米が水分を吸ってしまうので、こちらを先に食べるのがおすすめとのこと。
炊き込みタイプは、一般家庭で食べられるようになったもの。上品なお味です。
どちらもアサリがふっくらしていて美味しい!
深川で 江戸の暮らしや文化を知ろう!
「深川江戸資料館」はコンパクトな施設ですが、展示を見るだけでなく触れたり体験したりすることができ、江戸時代の庶民の暮らしへの理解が深まる面白い場所でした。季節によって展示されている小物が変わるそうなので、2度行くと新しい発見があるかもしれません。
江戸の町並みを再現した「深川江戸資料館」と、江戸時代の漁師の知恵から生まれた「深川めし」で、ちょっぴりタイムスリップ気分が味わえた1日でした!