2018年9月15日(土)〜2019年1月14日(月・祝)の期間、巣鴨の隣駅・駒込にある「東洋文庫ミュージアム」で開催されている「大♡地図展 - 古地図と浮世絵」。
伊能忠敬没後200年&歌川広重没後160年ということで、伊能忠敬にちなんだ「地図」と歌川広重にちなんだ「浮世絵」に焦点を合わせたイベントになっています。高校時代に日本史選択だったので、どんな作品に出会えるのかワクワクしながら、先日行ってきました。
イベント開催中の「東洋文庫ミュージアム」
日本最古にして最大の東洋学専門図書館・研究機関である「東洋文庫」。
蔵書はおよそ100万冊にものぼり、中には国宝や重要文化財など歴史的価値があるものもあります。その東洋文庫の所蔵品の一部が展示されているのが「東洋文庫ミュージアム」です。
その東洋文庫ミュージアム内のあらゆる展示室で、イベントの企画展示が行われています。
入り口すぐの「オリエンタルホール」
東洋文庫ミュージアムに入館してすぐにあるのが「オリエンタルホール」です。100万冊もの蔵書の中から、その時に行われている企画展に合わせた内容の資料を展示するスペース。時空を超える本の旅はここから出発です!
私が訪れた時、オリエンタルホールにはあらゆる世界地図がずらっと並んでいました!
▲『バビロン』 / ウンガー・エックハルト著 1970年 ベルリン刊
右下に書いてある太陽のような図、これが実は紀元前600年頃に製作された世界最高の世界地図なんです。中心にはバビロニアの首都バビロンとユーフラテス川が描かれ、その周辺の有力都市が小さな丸で表されているんだとか。
実際にこの地図が描かれた粘土板は現存しており、現在は大英博物館が所蔵しています。
▲『コスモグラフィア』 / プトレマイオス著 1963年復刻 アムステルダム刊
2世紀頃にエジプトで描かれた『コスモグラフィア』は、経緯度を用いて製作されたもので、15世紀まで多くの人に影響を与えた世界地図。残念ながら現存はしないので、これは復刻版です。見れば見るほど、塗り絵がしたくなる地図です。
“日本一美しい本棚”と称される「モリソン書庫」
2階に上がるとすぐに、日本一美しい本棚と言われている「モリソン書庫」があります。床から天井までびっしりと並んだ、24,000冊もの本は“圧巻”の一言。ハリーポッターのような魔法の世界にある本棚みたいです。
▲『ペリー日本遠征記』 / フランシス・ホークス 1856年 ワシントン
モリソン書庫では、アジアの世界遺産がいくつかピックアップされ、紹介されていました。
これは江戸時代後期、鎖国政策をとっていた日本に開国を要求したペリーの『ペリー日本遠征記』。展示されているページには、沖縄にある世界遺産群のひとつ「首里城」の正面に建つ守礼門が描かれていました。
東洋文庫の名品が集まる「岩崎文庫」
2階の「岩崎文庫」では、東洋文庫の名品が展示されています。
時代を超えた壮大な歴史の流れを、数々の名品によって辿ることができます!
▲『NIPPON』 / シーボルト 1852年 ライデン
これはシーボルトが著した『NIPPON』の中で描かれた日本地図です。伊能没後に完成した『大日本沿海輿地全図(伊能図)』に基づいた、ほぼ完璧な日本地図!衛星画像がない時代に、現在の日本地図と遜色ない地図を作る技術力には感服するばかりです。
▲『風俗金魚傳』 / 曲亭(滝沢)馬琴 1829年
江戸時代のベストセラー作家、曲亭(滝沢)馬琴が書いた『風俗金魚傳』の自筆草稿がありました!今からおよそ200年前に書かれた作品で、日本史を勉強していた人にとっては垂涎ものです。
▲左:『ターヘル・アナトミア』(J.A.クルムス著) / 右:解体新書(杉田玄白等訳)
日本の医学に多大なる影響を及ぼした『解体新書』と、その解体新書の原典にあたる『ターヘル・アナトミア』。解体新書が完成するまでの流れをアニメーション映像でわかりやすく解説してくれています。
自分の知らない歴史を発見できる「ディスカバリールーム」
写真手前から奥に向かって、伊能忠敬測量隊の行路(第1次〜第9次)の順に、日本各地の風景や名所、旅の様子を描いた浮世絵や絵本などの書物が展示されています!当時の日本を旅するかのように楽しめます。
▲『近江八景』 / 歌川広重 1834年頃刊
歌川広重の『近江八景』も飾られていました。琵琶湖周辺の6つの名所を描いた『近江八景』の中でも最も有名な作品で、あかね色に染まる空と琵琶湖のコントラストがとても美しいです。
▲『富嶽百景』 / 葛飾北斎 1835
歌川広重と同時代を生きた浮世絵師・葛飾北斎が手がけた絵本『富嶽百景』もありました。
『富嶽百景』は、葛飾の名を世に知らしめた作品『富嶽三十六景』 との二連大作で、富士山をテーマに風景や神話歴史などが描かれています。絵には人々の躍動感が感じられます。
展示を見終わったら「オリエンタル・カフェ」へ!
東洋文庫ミュージアムに併設している「オリエンタル・カフェ」。ミュージアムで知の冒険を満喫した後は、小岩井農場がプロデュースしているこのカフェでゆっくり休憩するのもいいかもしれません!私が行った日は貸切営業を行なっていたので、店内で食事をいただくことはできませんでした。
オリエンタル・カフェに続くこのおしゃれな通路は「知恵の小径」と呼ばれています。知恵の小径にあるパネルには、アジア各国の名言が原語で記されています。言語の知識がなかったので、意味は全然わかりませんでした...
以上、「大♡地図展 - 古地図と浮世絵」をご紹介しました。
もう二度と見られない貴重な展示もあるかもしれません!ぜひこの機会に足を運んでみてくださいね!
公式サイト:東洋文庫ミュージアム 展示