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2021-08-27

世界最大級のゴッホコレクション! 傑作が集まる「クレラー・ミュラー美術館」へ


ゴッホやフェルメールなど数多くの有名画家を輩出してきたオランダは、名画を所蔵する美術館も多く、西洋絵画好きなら絶対に訪れたい国。

今回はそんなオランダにある美術館の中から、世界で2番目の規模のゴッホ・コレクションを誇る「クレラー・ミュラー美術館」をご紹介します!



国立公園内にある「クレラー・ミュラー美術館」

「クレラー・ミュラー美術館(Kröller-Müller Museum)」は、変わった場所にある美術館としても有名で、オランダ最大の国立公園「デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園」内にあります。

オランダの首都・アムステルダムから電車とバスを乗り継いで約2時間の場所に位置しており、お世辞にもアクセスがいいとは言えません...。


バスを上手に乗り継げば、美術館前までバスで行けるようなのですが、私は国立公園の入り口(おそらく)で下車してしまったので、自転車を利用して美術館へ。
公園内のいたるところにある駐輪場で自転車をレンタルできます。レンタル料はタダ。


簡素な作りなのであまり安定感はなく、しかもハンドルにブレーキがなくてペダルを止めてブレーキをかけるタイプ、おまけにハンドルも高めなので、普通に自転車に乗れる私でも最初は少しグラグラしました。

「ゴッホの森」と呼ばれている国立公園内を自転車で走るのは、とても気持ちのいいものでしたよ!



美術館に到着!

自転車でゴッホの森を走ること約10分、ようやく美術館に到着しました。
美術館の入り口前の庭には、大きなアート作品が展示されています。空間の使い方が贅沢でおしゃれです。



白を基調とした館内

「クレラー・ミュラー美術館」は、同じオランダにある「アムステルダム国立美術館」や「マウリッツハイス美術館」のような豪華絢爛な美術館ではなく、館内は白を基調とした質素な造りで、作品により集中することができる環境になっています。



クレラー・ミュラー美術館の目玉「ヴァン・ゴッホ ギャラリー」

クレラー・ミュラー美術館の目玉は何といっても「ヴァン・ゴッホ ギャラリー」。90枚の絵画と180枚のデッサンで構成される、世界で2番目の規模のゴッホ・コレクションです。

ヴァン・ゴッホ ギャラリーの中から有名な作品を中心にいくつかご紹介します。


▲『Caféterras bij nacht(Place du Forum)』/ ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

日本では『夜のカフェテラス』の名で知られている傑作。ひと際存在感がある作品で、ヴァン・ゴッホ ギャラリーに入ると、真っ先に目に飛び込んできます。明るいカフェテラス、夜空に優しく輝く星などが柔らかいタッチで描かれており、見ていると心温まる作品です。ずっと見ていても飽きません!


▲『Landweg in de Provence bij nacht』/ ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

直訳すると「夜のプロヴァンスの田舎道」ですが、日本では『糸杉と星の見える道』として知られている名作。“糸杉” 、“星” 、“月” 、“麦畑” など、ゴッホが好んだと言われているモチーフがすべて登場している作品です。精神を病んでいた晩年の作品で、揺れて渦巻く筆致に不安定な精神状態を垣間見ることができます。


▲『Zelfportret』/ ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

肖像画家として生計を立てようとしていたゴッホが、1887年に肖像画の練習として描いた『自画像』。1880年代前半以前は暗い絵ばかり描いていたとは思えないほど、非常に明るい色使いの作品です。明るい色使いは、シニャックやゴーギャンなどから影響を受けたんだとか。


▲『Smederij』/ ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

▲『Populierenlaan bij zonsondergang』/ ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

ゴッホの作品は、フランスに移住した1886年以前以後で大きく作風が変わるのですが、ヴァン・ゴッホ ギャラリーでは、その変化がよくわかります。

1886年以前は、農村や農夫などをモチーフに描くことが多く、しかも暗い絵が多いです。対して、1886年以降は印象派の影響を受け、カフェや大通りなどモチーフに描くことが多くなり、明るい絵が多くなります。

『Smederij』は1882年、『Populierenlaan bij zonsondergang』は1884年の作品です。



ゴッホ以外にも有名作品がたくさん!

▲『Au café』/ ピエール=オーギュスト・ルノワール

印象派の画家の中でも日常生活を主題とした作品を多く描いているルノワールの『カフェにて』。ルノワール作品らしく、さまざまな色が混じり合って大雑把に描かれている背景が、しっかり描かれるメインの人物を引き立てています。彼女らの視線の先には何があるのか気になりますね。


▲ 『L'Arc-en-ciel, Pontoise』/ カミーユ・ピサロ

最も影響力のある印象派画家の一人であるピサロの作品『虹、ポントワーズ』。典型的な印象派の画法で描かれており、雨上がりの空に虹がかかった一瞬を切り取っています。印象派の作品は柔らかな印象の作品が多く、心が温まります。


▲『La route vers l'étang』/ ポール・セザンヌ

”近代画家の父” と呼ばれているセザンヌの作品『池への道』。背の高い木々が立つ、曲がりくねった道路の先には湖が広がっています。中央に描かれてる建物は、平らな箱のようになっており、キュビズムを少し感じます。


▲ 『Entrée du port de Marseille』/ ポール・シニャック

“点描画” という画風を確立し、新印象派を世に広めたシニャックの作品『マルセイユ港の入口』。線ではなく点の集合や非常に短いタッチで描かれており、その繊細さには驚かされます。ちなみに私はこの絵を見て、シニャックの魅力に気づかされました。



部屋を目いっぱい使った現代アートのスペース

展示室の後半には、部屋を目いっぱい使った現代アートのスペースもありました。現代アートにはあまり詳しくないのですが、斬新な作品が多く、ひとつひとつの作品からパワーを感じました。



クレラー・ミュラー美術館は、ゴッホ好きにはたまらない美術館でした!アムステルダムからは少し離れていますが、アート好き・美術好きの方はぜひ足を運んでみてください。




このしおりのライター

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