神が降りる地、上高地
今や日本のみならず、海外でも人気の高い上高地。「特別名勝」と「特別天然記念物」の2つの称号を冠する日本屈指の山岳リゾートです。古くは神が降りる地で「神降地」と呼ばれていたそうで、その名残を感じさせる神秘的な景色が今も守られています。
登山家たちの憧れ、穂高連峰への入り口となっている上高地ですが、ハイキングを楽しむだけなら体力にそこまで自信がない方でも大丈夫。ハイキングコース自体は勾配も少なく、歩道も整備されているので軽装でも問題なく楽しめます。
ただ、標高約1500mに位置しているので市街地に比べ5~10℃ほど温度差があります。夏でも涼しいため、体温調節できる格好で訪れましょう。山の天気は変わりやすいため、雨具などもあると安心です。意外と日差しが強いので、帽子もお忘れなく!
上高地へのアクセス
上高地は中部山岳国立公園の一部となっていて、その豊かな自然を守るためにマイカー規制が行われています。上高地へのアクセスとして、①マイカー ②公共交通機関 ③直行バスの3通りがあります。
①マイカーの場合、指定の駐車場からシャトルバス/タクシーを利用します。
②公共交通機関は、電車とバスを乗り継ぎます。バスの予約が必要な場合があるので、スケジュールをしっかり立てる必要がありそうです。
③直行バスは、東京(関東)・名古屋・大阪の3路線で定期的に運行されています。県外から訪れる場合、直通バスが一番便利かと思います。
ご自身の旅程に合わせてぴったりな方法を選んでくださいね。
上高地の入り口:大正池
大正4年の焼岳の噴火の際、流れ出た溶岩や泥流によって梓川が堰き止められ出来たのが大正池。
穏やかな水面に山々が映り、穂高連峰の大パノラマを楽しむことが出来ます。上高地への入り口にふさわしい雄大で美しい景色が広がります。ここから河童橋まで歩いても1時間ちょっとなので、時間・体力に余裕がある方はぜひこちらで下車してハイキングを楽しんでくださいね。
美しい大正池ですが、梓川や焼岳の沢から流れ込む土砂などで埋まってしまう可能性があり、そのため毎年土砂を取り除く作業が行われています。景観を守っていくために、様々な努力がなされているんですね。
歩きやすいハイキングコース
大正池から河童橋までは、わかりやすく歩きやすいハイキングコースが整備されています。迷うことはないかと思いますが、植生を守るためにもコースから外れることがないよう気をつけましょう。
舗装されていない部分もありますが、本格的な装備でなくても歩きやすい靴であれば大丈夫です。
湿地部分では、こうした板張りのコースの上を歩きます。高さがある場所もあるので、足を踏み外さないよう気を付けて。
森に隠れた田代湿原、田代池
個人的にとても気に入ったのが、田代湿原と田代池のエリア。大正池から鬱蒼とした森を歩き、しばらくすると突然現れる田代湿原。青々とした湿原が目の前に広がる瞬間は清々しく感じます。後ろにそびえる穂高連峰は得も言われぬ凛々しさ。
田代湿原のすぐ裏手にあるのが田代池。ごくごく浅く小さな池ですが、水の透明度は抜群!小魚が泳いでいる様子も見られるほど澄んでいます。
せせらぎの音も聞こえ、とてもリラックスできる空間です。
上高地のシンボル:河童橋
上高地といって一番に思い浮かぶのは、清流にかかる河童橋と間近に迫る穂高連峰の組み合わせではないでしょうか?上高地のシンボルの河童橋は、芥川龍之介が昭和2年に発表した小説『河童』に登場したことで一躍有名になりました。
どうして河童橋という名前が付けられたのかは定かではないようですが、河童がひっそりと住んでいるような気がするほど美しい光景が広がっています。筆者が訪れた際は数日前の大雨の影響で増水し、多少印象が違ったものになっていましたが、それでも十分その美しさを楽しむ事ができました。
河童橋周辺にはホテルやカフェ、ショップなどがいくつも集まっています。一休みするもよし、お土産探しを楽しむもよし、楽しみ方は何通りもありそうです。
他にも沢山、上高地のおすすめスポット
時間に余裕のある方は、河童橋のさらに奥へも足を延ばしてみてください。原生林に囲まれた岳沢湿原や、上高地を見守る穂高神社の奥宮が鎮座する明神池など、他にもいくつもおすすめスポットがあります。
2020年6月半ばに訪れた際は、地震や雨の影響で崩落があり、河童橋から先のほとんどのルートが通行禁止になっていたので残念でした。日々状況が変わることが予想されますので、インフォメーションセンターで最新情報を確認の上、気を付けて向かわれてくださいね。
ルールを守って上高地を次世代へ
自然豊かな上高地には貴重な動植物が多く生息しています。そんな上高地を守っていくために「採らない・与えない・捨てない・持ち込まない・踏み込まない」という5つのルールがあります。これらのルールを守って、美しい上高地を次世代へ受け継いでいきたいですね。