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【フランス】香水の都、グラースで香りのお散歩を楽しもう

一年を通して穏やかな気候でバカンスでも大人気の南仏。そんな南仏にあるグラースを知っていますか?小さな街ながら世界的にも有名な香水の街なんです。誰もが聞いたことのある“あの香水”が生まれたグラースで香りのお散歩を楽しみましょう。



グラースってどんな街?

映画祭で有名な南仏カンヌから20㎞ほど内陸へ向かうと見えてくるのが、ゆるやかな山に囲まれた街グラース。中世の面影が残るこの小さな街に入ると、どこからともなく良い香りが漂ってきます。グラースは世界的にも有名な香水の街で、毎年世界中から調香師が修行に訪れます。パリで活躍する調香師のほとんどはグラース出身なんだそうですよ。

人口5万人ほどの街に60近くもの香水関連の企業があり、現在でもフランスの香水産業の50%、世界の香水産業の10%はグラースが担っているという数字も出ているほど。あの“シャネルNO.5”もグラースで誕生したんだとか!



香水製造の歴史

もともとグラースは12世紀頃までは革なめし産業で名を馳せていました。高い品質を誇り、特に人気だったのが革手袋ですが、問題になったのがその強い臭い。手袋を外しても臭いが残るとの声を受け、香水を染み込ませた香り付きの革手袋が作られ人気となりました。グラースの温暖な気候は香料の原料となる植物の生産にうってつけだったため、18世紀には革なめし産業に代わって香水産業が発展していきました。

今では合成香料を使用した香水に押されていますが、それでも天然の精油から作られる香料・香水の多くはグラースで作られています。グラースではジャスミン、バラ、ラベンダー、ミモザ、オレンジブロッサムなど香水に欠かせない植物が数多く栽培され、春から夏にかけて沢山の花々を楽しむことができます。5月にはバラ祭り、8月にはジャスミン祭りが開催されるので、日程を合わせて旅行するのもいいですね。



香水工場を見学

せっかくグラースを訪れたなら、外せないのが香水工場の見学。フラゴナール、ガリマール、モリナールの3つの香水メーカーで工場見学ができます。見学だけでなく、世界に1つだけの自分の香りを作れるワークショップを実施しているところもあるので、興味に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。

筆者はフラゴナールの工場でガイド付き見学ツアーに参加しました。フラゴナールではフランス語、英語対応のツアーが実施されています。ガリマールでは日本語対応のガイドさんがいらっしゃるようなので、そちらもおすすめです。


昔ながらの機械や道具が残っている工場は広々として明るい雰囲気。伝統的な香料の抽出法や香水の製造法について教えてもらえます。


実際の道具を用いて説明してくれるので、イメージしやすく分かりやすいです。質疑応答も交えながら進むので、気になったことはどんどん質問できますよ。手間暇のかかる昔ながらの製法にはさまざまな知恵がぎっしり詰まっています。


現在ではこうした機械で製造されることがほとんどだそう。風情は多少損なわれますが、安定した品質の香水を大量に製造することができるので便利ですね。



旧市街観光もお忘れなく

温かみのあるたんぽぽ色や優しいレンガ色に彩られた建物が立ち並ぶ旧市街。5階建て以上の背の高い建物が多く道も狭いので、迷路のように感じるかもしれません。旧市街自体は1~2時間で観光することが出来ます。車で入場することができないので歩きやすい靴で散策しましょう。

さすがは香水の街だけあって、少し歩くと香水のブティックはもちろん石鹸やポプリなど香りにまつわるお店をあちこちに見かけます。お土産にもぴったりですので、ぜひじっくりお気に入りのお店を探してくださいね。



美術館・博物館も必見

時間があったらぜひ訪れてほしいのが各種美術館や博物館。国際香水博物館をはじめ、プロヴァンス歴史・美術博物館、海軍博物館などグラースの歴史について理解を深められる施設がいくつもあります。貴族の邸宅をそのまま使用している美術館もあり、当時の雰囲気を味わうことができるのでおすすめです。

香水メーカー「フラゴナール」が所有する香水美術館、ジャン=オノレ・フラゴナール美術館、プロヴァンス民族衣装&宝石博物館の3つは入場料無料で基本的に毎日開館しているので観光客には嬉しいですね。


筆者はプロヴァンス民族衣装&宝石博物館を訪れました。旧市街の入り口、フラゴナール歴史工場のそばにあり、アクセスもしやすいです。美しいドレスや煌びやかな宝石など入場無料とは思えないほど充実した展示が揃っています。



ノートルダム・デュ・ピュイ大聖堂からの眺めは最高

グラースの眺めを楽しむなら、ノートルダム・デュ・ピュイ大聖堂へ立ち寄ってみてください。敵の侵入を防ぐために造られたため高台にあり、大聖堂から少し奥まった場所にある8月24日広場(グラン・ピュイ広場)からの眺めは抜群です。


12世紀末に建立されたという大聖堂には、ルーベンスやフラゴナールの宗教画があるのでこちらもお見逃しなく。石造りの重厚な雰囲気の聖堂内はとても静かで歴史を感じます。
フラゴナールが描いた唯一の宗教画と言われる「洗足」は一見の価値あり!



まとめ

グラースへのアクセスはカンヌからのバスがおすすめです。日帰りでも十分楽しむことが出来ますが、見応えのある美術館や調香体験のアクティビティ、郊外にある花畑観光などをじっくり楽しむにはぜひ一泊はしたいところ。一泊して、朝夕と雰囲気を変える旧市街の美しさも堪能してくださいね。



このしおりのライター

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