ウィーン旧市街の郊外、市電やバスで30分ほどの距離にグリンツィング(Grinzing)、ハイリゲンシュタット(Heiligenstadt)といったホイリゲ村があります。
気軽に訪れてほろ酔いになれる、アクセス良好!のワイン酒場へ、いざ参らん!
ホイリゲ(Heuriger)とは
「今年の」を意味する「ホイヤー(heuer)」が変化して「今年のワイン」=「新酒」という言葉が誕生。
また、新酒を提供する居酒屋のことも「ホイリゲ」と呼ぶようになったため、ホイリゲには2つの意味があるのです。
ホイリゲの定義
ウィーン市の条例で定められている「ホイリゲ」とは、
・新酒~葡萄が取れた年の聖マルティンの日(11月11日)に解禁し、翌年の大晦日までのもの
・居酒屋~ウィーン市境から10Km以内で収穫した葡萄を使用した自家製ワインを提供、営業は300日以内
つまり『葡萄栽培農家自家製の新酒ワインがいただける居酒屋』ということですね。
そのお味は?
かすかに炭酸が残る辛口の白ワイン。
ワイングラスではなく、小さめのジョッキでいただきます。
飲み口が軽いのでついついグラスを傾けてしまいますが・・・ 結構酔っぱらいますのでご注意を!
自家製のお料理もいただけるので、お酒が弱い方でも、雰囲気と食事を楽しむことができますよ。
居心地の良い空間
1軒1軒が個性的!カラフルな街並みで、どこに入ろうか迷ってしまいます。
たいてい中庭が解放されており、縁に囲まれた屋外で新酒をいただく・・・
和やかな時間を過ごせる贅沢な空間です。
ウィーンの民族音楽「シュランメル」の演奏が聴けるお店もあります。
静かに飲んでもよし、演奏を聞きながら騒いでもよし、お好きな過ごし方が選べます。
ベートーベンの軌跡も辿れるハイリゲンシュタット
ハイリゲンシュタットはかつて鉱泉が湧き出ていた療養地。
ベートーベンが難聴の治療で温泉療養のため滞在していました。
耳の回復に希望を持っていましたが、残念ながら、効果はありませんでした。
▲ ハイリゲンシュタット聖ヤコブ教会
病気が悪化し、どんどん聞こえなくなっていく耳に絶望したベートーベンが1802年、31歳のとき2人の弟宛に遺書を書きました。
その遺書を書いた家は現在博物館となっています。
▲ 遺書の家
絶望したベートーベンが難聴に向き合い、作曲活動を活性化させた「ベートーベンの黄金期」といわれる時期の1808年夏、「田園」を完成させた家がこちら。
▲ ベートーベン夏の家
近くには小川が流れる森の小道があり、そこを歩きながら「田園」の曲想を思いついたといわれています。
「ベートーベンの散歩道」と名付けられた緑豊かな森の片隅で「田園」を聴きながらお散歩するのもいいですね。
現在はホイリゲとして営業しているこのお宅、ベートーベンはこの家の二階を間借りして、1817年、「第九」の一部を作曲しました。
▲ Mayer am Pfarrplatz(マイヤー・アム・プファールプラッツ)
今ではハイリゲンシュタットを代表する有名なワイナリー兼ホイリゲです。
散策して、新酒を楽しんでほろ酔いに。
すっかり日も暮れたホイリゲ村には優しい灯りが灯りはじめました。
中心地から少し足を延ばせば、そこは“ウィーンの森”の入口。
ベートーベンの足跡を辿り、新酒を楽しむ。
音楽好きにもお酒好きにもオススメのスポットです!