かつて住んでいた名古屋市千種区の「覚王山(かくおうざん)」エリア。
ここは市街地中心部から離れた、適度な都会という雰囲気で、窮屈さはない。
加えて、地下鉄東山線と名城線の二つが走っているほか、近くにスーパーやコンビニなどがあり、生活上で困ることもなく、本当に住みやすい街だったなぁ、と思う。
名古屋で住みたい街No.1と呼ばれているのも伊達ではない!
そんな覚王山、住みやすさに加えて、ふとした休日に散策するのも楽しい場所だったりする。そこで今回は、おすすめスポットと一緒に、その魅力をご紹介したいと思う。
歴史の街からカフェ通りに。名古屋の歴史と今が詰まっている
「本山・覚王山」ともに山の字が付いているように、少し小高い丘のようになっていて、平地ばかりの名古屋では珍しい場所。
そのためか、昔から別荘地として親しまれたり、月見の名所になっていたらしい。また、仏教の始祖「ブッダ」の遺骨が寄贈・納入されたタイと日本の文化交流の地でもある。
これらはあまり知られていない。
住宅地にいきなり五重塔が現れてびっくり!
先ほどのブッダの遺骨を納めるために創建された日泰寺で、この周囲に門前町(商店街)が発達したのだそう。
その名残からか、お洒落な佇まいの店が多く、「カフェ通り」と呼べる覚王山。
穴場のお店も結構あるのだが、ここでは特にオススメの2店舗を紹介してみよう。
ラザニアが絶品!満足度が高いカジュアルなカフェレストラン「Ji.Coo.」
覚王山の丘を登りきったところ、覚王山Franteというスーパーの最上階にあるカフェ「Ji.Coo.」。
広々として落ち着いた空間に、お洒落なインテリア。ランチから食後のコーヒータイムまで含めて、ゆったりと過ごせる居心地の良さがいい。
加えて、その店の雰囲気の良さに引けを取らない、クオリティの高いランチを頂けるのが醍醐味だ。
ランチは6種類から選ぶことができる。価格は、税込1,300円以上と若干張るけれど、3種のデザートと食後の飲み物付きなので、なかなかお手頃だろう。
中でも特にオススメなのは「ラザニア」。
あつあつの幅広平打ちパスタ生地にたっぷりのチーズとミートソースのコンビネーションが抜群で、とっても濃厚・・・。程よい焦げもアクセントになっていて、口へ運ぶたびに思わず笑顔になってしまう。
そして最後に出てくるデザートが、なんと3種類も!コーヒーや紅茶と一緒に、食後の時間を贅沢な気分で過ごすことができる。
なおデザートは日替わりのため、これを楽しみに何度も訪れている人もいるのだとか。
ハンバーガーが旨い!覚王山を代表するおしゃれカフェ「ZARAME NAGOYA」
日泰寺の門前通りの中心には、有名なカフェやケーキ屋さんが立ち並び、その代表的なお店の一つが「ZARAME NAGOYA」。
アメリカンテイストが効いた店内では、名物のドーナツや、お洒落なカフェランチが頂ける。訪れた時はクリスマスの季節だったので、カラフルな仕様のドーナツが数々店頭に並んでいた。
インスタ映えも抜群で、店内は若年層のカップルや女子を中心に賑わっている!そちらも気になるが・・・
せっかくなので、カフェランチを紹介したい。こちらも5種類のランチがあるのだが、ぜひ食べて欲しいのが「ハンバーガーセット」だ。
弾力のある分厚いパテは牛肉100%で肉感満載!肉の旨味を邪魔しない適度な味付けが絶妙だ。少し歯ごたえのあるバンズとの食感の組み合わせも面白い。
バジルソースで食べる、なぜかイタリアン!?なポテトもお気に入りだったりする!
癒しの庭園と地下ホールが面白い!食後には覚王山の隠れ家「揚輝荘」へ
さて、お腹いっぱい!ゆっくりして心も体も満たしたら、ちょっと運動したくなってきた!そんな時にピッタリな穴場散策スポットが、この覚王山エリアにある。
その名も「揚輝荘(ようきそう)」。かつて、大手百貨店の一角・大丸松坂屋の創始者である伊藤次郎左衛門祐民(いとうじろうざえもんすけたみ)が日泰寺に隣接して作った邸宅であり、広大な庭園を有している。
全てが残っているわけではないが、現存している南北エリアについては無料で見学が可能になっている。というわけで食後の散歩にちょうどいい。
京都の修学院離宮を彷彿とさせる南側からの眺めは、都会の中にあるとは思えない、ひっそりと落ち着いた面持ち。
そして南庭園の北側の一角に位置するトレードマークの洋館・聴松閣(ちょうしょうかく)についても、入場料300円を払えば見学可能だ。
実は建物には地下ホールがあり、面白いB級スポットになっているので、ぜひ足を運んでみて欲しい。
なんとこの部屋には、彼が行ったインド・ビルマでの仏跡巡礼の旅の軌跡が随所に散りばめられている。
ホール全体を覆う柱一つ一つに施される装飾、仏画が描かれていたり、ついにはアジャンター石窟寺院を模した場所まで。
そしてガラスにはヒマラヤ山脈を描かれ、朝日に合わせて山が色づいていく様子(モルゲンロート)まで再現されていた。
まさに、彼の視点で見たインド・ビルマ旅行が表現されている部屋、と言ってもいい。その熱狂ぶりが手に取るように伝わってくる。
確かに旅は、未知のものに出会い心掻き立てられるもの。そのモチベーションが、こうして一つの形として表れている。
そういう意味では、私が執筆している旅行ガイド記事と根本は一緒。時代は変わっても旅人の価値観は普遍なんだなぁ〜と、どこか故人と心通じることができた気がした。
そんな歴史的にも、グルメ的にも、休日的にも、穏やかで充実した1日を過ごすことができる「覚王山」。遠出だけでなく、近場をぶらぶらするのも案外楽しいものだ。
遠出だけじゃなく、身近なところにも旅要素がないか?探すのも今では一つの楽しみになっている。