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2019-07-28

【与那国島】島を見守るようにたたずむ巨岩 ティンダバナ


日本最西端の島、与那国島に行ってきました。
夕方に島に到着後、宿のある祖納集落を散策していると、集落のすぐ近くに巨岩がそびえ立っているのが見えました。
巨岩は集落内のどこからでも望むことができます。標高は100mほどだそうです。

宿のおかみさんに尋ねると、その巨岩はティンダバナというのだそう。

それにしても、丘の上にどうしてこんな巨岩が「ドンッ!」と乗っかっているような不思議な地形ができたのでしょうか。興味深いですね。
展望台になっているとのことでしたので、翌早朝にさっそく行ってみました。




ティンダバナの入口へ

祖納集落の端、主要道路を曲がって坂道を上っていくと歩いて10分ほどでティンダバナの入口に着きました。
もう少しかかりそうな気がしましたが、意外と近いですね。
入口に駐車場もありますので、もちろんレンタカーで行くこともできますよ。

ティンダハナタとも言うようです。


駐車場のすぐ奥のところから遊歩道が始まっていました。


入り口にさらに説明板がもうひとつ。


遊歩道の周囲は亜熱帯植物に囲まれています。




「中世の女酋長サンアイ・イソバの碑」と「イヌガン」

少し歩くと「サンアイ・イソバの碑」という看板がありました。

サンアイ・イソバというのは15世紀頃に与那国島を統治していた女酋長だそうです。実在したとされています。4人の兄弟を島内に配置して統治していました(そう言えば祖納集落に「女酋長」という居酒屋がありました)。

サンアイ・イソバはこのティンダバナを拠点として活動していたとされており、その墓として「サンアイ・イソバの碑」が設けられているとのこと。

看板のすぐ上にお墓らしきものがあるようだったのですが、倒木があり近づくことはできませんでした。木々の間から垣間見るのみ。残念!


さらに少し歩くと、「イヌガン」と呼ばれる場所がありました。軒下となっている岩場の空間です。

この岩屋で犬と女が同棲していたとのこと。いろんな伝説がありますね。

イヌガンとは与那国の言葉で「犬神」という意味だそうです。




ゴツゴツとした巨岩の岩肌が間近に

遊歩道を進み亜熱帯植物林の中を抜けると、さっきまで遠目に見ていた巨岩が目の前に現れます。


上を見上げても巨岩。

迫力があります。

このゴツゴツした岩は琉球石灰岩のようです。琉球石灰岩とはサンゴや貝殻などが堆積してできた岩のこと。
ということはこの巨岩はもともと海の中にあったものが、隆起するなどして何万年もかけてこの高台まで上がってきたということなんですね。
デコボコした表面に、サンゴなどの化石模様があるそうです。


さらに進むと岩側には、もはや植物もなくて岩肌のみ。

岩肌をよく見ると横方向に縞模様が走っていて、層が別れているのが分かります。
大きな岩といっても、もともと塊だったのではなく、気の遠くなるような長い年月をかけてさまざまなものが堆積してできた地層なんですね。

その岩肌に、石碑が埋め込まれています。
近づいてみると、「『讃・與那國島』 伊波南哲」 とありました。

与那国島を航空母艦と見立てた詩が書かれています。
「紀元二千六百三年三月」の文字が。調べると第二次世界大戦中の1943年に建立されたものだとのこと。時代を感じますね。




展望台からは祖納集落と東シナ海を一望

さらに進むと展望台があります。展望台といってもベンチがあるだけなんですが、ここからの景色がこちら。

祖納集落が一望できました。
あいにく曇りの天気だったので分かりにくいのですが、左の方にはエメラルドグリーンのナンタ浜が見え、奥には東シナ海が広がっています。
晴れた日には日の出も見ることができます。本当は見たかったんですが。。。残念です。


この展望台で行き止まりなんですが、よく見ると草むらの中に道らしきものが。
草をかき分けて少し進むと広い場所に出てきました。

岩の壁がまだ先の方まで続いています。
さらに進んでいくと、行き止まりのようなのに、また草むらの中に道らしきものが見られました。
ただ、人がほとんど通っていないような感じです。
行ってみたくもありましたが、危ないかもしれないのでこれ以上進むのは止めておき、引き返しました。




岩の合間から流れ出る湧水

ティンダバナでは岩場にもかかわらず2ヶ所、湧水が湧き出ていました。

巨岩なのにどうして湧水が出るのか。
不思議でしたが、帰って調べてみて分かりました。
下から見上げるだけでは分かりませんが、ティンダバナの頂上は台地のようになっていて、草原が広がっているそうです。そのどこかで水が保持されているのでしょうね。
なお、その頂上部分にも歩いて行けたそうです。知らなかった。。。

この湧水は毎年旧暦8月に行なわれるアラミディ(新水)という祭祀行事で、年の初めの水を汲む神聖な場所となっているそうです。




まとめ

ティンダバナは自然の雄大さと与那国島の伝承・歴史を感じさせてくれる場所でした。

祖納集落からは歩いてでも行けますし、東シナ海を一望できて日の出も望めます。
与那国島に行ったら必ず訪れたいスポットのひとつです。



このしおりのライター

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