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2018-06-27

【UAE】光の雨が注ぐドームが圧巻! ルーヴル美術館の別館、ルーヴル・アブダビ

アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)の首都アブダビにルーヴル美術館別館が2017年11月にオープン。別館としてはフランスのルーヴル・ランス(2012年12月)に次いで2館目となります。当然ながら、フランス国外で“ルーヴル”と称された美術館は世界初!

パリの美術館初の国外進出に注目を集めているルーヴル・アブダビをご紹介します。




芸術的建築

展示物で驚く前に、美術館そのものに驚きます!!!


設計は世界的建築家ジャン・ヌーヴェル氏によるもの。アラブの伝統文化を意識して設計されました。大小55の箱型の建物を2フロアに散りばめて配置、その上にメタリックなドーム型の屋根。


美術館を覆うドームは直径180M、幾何学模様からなるアルミニウムのレイヤーが8層。その重量なんと7500トン、エッフェル塔と同じ重さというのですから驚きです!






貸出作品

展示物はルーヴル・アブダビ所有の物からルーヴル・パリ、フランス国内の美術館からの貸出のものまで合わせて600点余り。貸出作品はここ10年で徐々に返却されるとのこと。

・ルーヴル・パリから

▲ ラムセス2世像

▲ アケメネス朝時代の弓を射る兵士の岩のレリーフ


・ヴェルサイユ宮殿から

▲ ダヴィッドの『アルプスを越えるナポレオン』


・オルセー美術館から

▲ マネの『笛を吹く少年』

▲ ゴッホの『自画像』


・ポンピドゥー・センターから

▲ アルベルト・ジャコメッティの『Standing Woman II』

世界の名だたる美術館では有名作品の前は人だかりになっていることが多い中、比較的空いているルーヴル・アブダビではじっくり鑑賞できますよ。




特殊な展示方法

展示ギャラリーは、12000年に及ぶ人類の創造の歩みが学べるストーリー性ある構成で、INTRODUCTION「THE GREAT VESTIBULE」から始まり、GALLERY 1「THE FIRST VILLAGES」、GALLERY 2「THE FIRST GREAT POWERS」~GALLERY 6と7の間にINTERSECTION「COSMOGRAPHY」を挟み、GALLERY 12「A GLOBAL STAGE」まで、全14に区分されています。

▲ GALLERY 1

▲ INTERSECTION

▲ GALLERY 12

ワンフロアのみで展示ルートを辿って進めば必然的に出口に出る。無駄な動線がないのが嬉しい!


各ギャラリーの展示テーマは「人類の共通点」。美術様式、宗教、文明の垣根を越え、国や地域も異なる美術品が同じケースに並んでいる、といった展示方法。芸術に優劣はないということ、そして世界の多様性と共通性を教えてくれます。






いざ、ドームの下へ!

見学を終え展示室の外に出るとさらに驚きの空間に出会います。

メタルが重なるドームの建築テーマは「光の雨」。椰子の葉の重なりを表現しており、葉々の隙間から零れ落ちる光はまさに「光の雨」が降り注ぐかのよう。光が幻想的な空間を演出しています。


日中は40℃を超えることもあるアブダビ。ドームは強烈な日差しを遮る役割も果たしており-4~5℃の効果があるそうです。


コンサートホール、カフェはアラビア湾に面しており、海の向こうに高層ビル群が臨めます。






インフォメーション

リュックの持込は禁止(無料ロッカーあり)、月曜休館、大人60AED(約1,800円)、フラッシュ禁ですが撮影は可能です。

事前にチケット購入できます → Louvre Abu Dhabi 公式HP

今年4月、日曜の昼前後に訪問しましたが、チケット購入に並んでいる人はなく、入場もスムーズでした。

▲ 混み具合はこの程度


かつて無人島だったアブダビ沖のサディヤット島を『芸術と文化の島』とするべく、ジャン・ヌーヴェルのルーヴル・アブダビに続いてフランク・ゲーリーのグッゲンハイム美術館分館や安藤忠雄の海洋博物館などの建設も進められています。学校やゴルフ場、リゾート開発もされ、一大リゾート島になる予定。人が大挙として押し寄せる前に、静かに芸術鑑賞が出来るのは今だけ?かもしれません。


何もかも高層で巨大な建築物を建設しているイメージのUAEですが、この美術館は「広すぎる」わけではないというのも好感度が持てます。展示物もさることながら、海に浮かぶ宇宙船のような美術館も一見の価値ありです!


このしおりのライター

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