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2021-03-16

鈴鹿の名山「藤原岳」で雪山登山! 雪山の原点を思い出す楽しさ

先日は、ホーム山域となりつつある鈴鹿へ。今回は北部の「藤原岳」。
前日の予報では悪天候だったが、急に晴れに変化をしたので、休養をとるはずだった1日が雪山登山へ。これだから平日の出勤前から筋肉痛だったりする(笑)

予報はまさに的中。晴れ間が多い1日で、藤原岳のいろんな表情を満喫できた。そして同時に、学生時代によく登っていた京都周辺の山々を思い出し、雪山登山の原初的な楽しみに耽ることができた。そんな野趣あふれる思い出について、つらつらと。



ローカル線に乗って登山を楽しめる「藤原岳」

早朝、名古屋始発の近鉄を経由して、三岐鉄道で西藤原ヘ向かう。所要時間は1時間40分ほど。早朝まで雪が降っているとの予報だが、9時から晴れることになっていた。

その予報は見事に当たり、車窓からは真っ白な山が飛び出す。これには、思わずテンションが上がらざるを得ない!


そして終点の西藤原駅へ。実は、この駅名通り、今回紹介する藤原岳は電車でアプローチできる稀有な山。西藤原から徒歩5分ほどで登山口に行くことができる。

車を持っていなくとも、気軽に当日電車に乗りさえすれば登山できるって素晴らしい。そして、こうでもしないと三岐鉄道を使うこともないし、味のあるローカル線に乗れたのも良かったかな。



京都・愛宕山を彷彿とさせる樹林帯の表登山道

駅を降りるとそこには、大きく佇む「藤原岳」。あの稜線の先にある山頂ゴールを目指す。そしてすぐに登山口へ。ここをひたすらに登っていくことが第一関門。

実は私はこれまで、何度か「藤原岳」に登ったことがあり、登山道の要点は掴めている。
ポイントは主に三つ。

①眺望がない樹林帯(8合目まで)
②急登の雪道区間(10合目まで)
③広大な雪原エリア(山頂まで)


まずは①から。以前登ったときは残雪期というのもあり、正直ただの森の中を淡々と、特に面白味がないコースだったけれど、積雪があると様相が劇的に変わる。

何ということがないはずの登山道が美しい世界へと一気に化ける!!

これは京都の愛宕山や大文字山、私の雪山黎明期に何度も登った京都の山と似ていた。雪山の原点的な楽しさを思い出す。これぞ雪山登山だという感じ。


徐々に高度を上げていくと、木々の隙間から麓が見えてきて4合目へ。ここからふかふかの雪の中を進む雪山の様相へと変わる!歩くだけでも楽しい雪道の始まりだ。


雪が積もった木々の中をズンズンと進んでいく。頭上に広がる鮮やかな青空に見惚れる。

寒い雪山でも体を動かすので汗をかくけれど、ふと立ち止まった時に、周囲の外気がその汗を冷やしてくるから、とても涼しい。これが雪山登山の好きな瞬間の一つ。


そして杉林へ、ここもとんでもなく好き。立ちはだかる杉の一株一株にたくさん雪が積もっていて、それが風によって雪の粉となり舞い落ちる。刻々と変化する杉林の中を進むのが楽しい!

樹氷と化した杉の間から覗く青空がまた絵になる。加えてこのスケール!雪をかぶった藤原岳中腹の森の美しさが伝わると思う。



難所8合目を越えると、雪原が広がる山頂周辺の世界へ

8合目を越えるあたりに差し掛かると、急登が始まり、そしてひらけた稜線へ。いやぁ下の町が一望できるところまで来た!最高に清々しい。残雪期(3月下旬)になると、この付近から黄色の福寿草が顔をだす。

今回は見れなかったけれど、いつかまた登りに来たいものだ!藤原岳は「花の百名山」と言われるほど花で有名な山で、その時期は特にハイカーで賑わう。


そしてかなりの急登を進んでいけば、徐々に木々が少なくなっていく。それとともに稜線の特徴である強風が、地表の雪をさらっていく光景が...!これは山頂が近いという証拠。すごく幻想的な風景だった。


そして標高1090mの藤原山荘へと到着。

山頂はまだ先だけど、表示ではここが10合目。昼前でかなり混んでそうだったので、スルーしてピークを目指すことに。


雪嵐に飲まれる藤原岳山頂方面の情緒。

だだっ広い雪原を思いっきり踏みしめて進んでいく。 鈴鹿山系の特徴は、どの山にも森林がない雪原があるということ。

コースに左右されることなく自由に進むことができるということが何よりも楽しい。


雪嵐が作る冬の芸術。


とても幻想的な雪粉舞い散る世界。

ひたすらに美しい雪原歩き&登りを満喫する。しかし、風で運ばれる雪にトレースが埋まりズボズボ雪にはまっていく。楽しいけれど中々大変なのも雪山登山らしさ。


そしてピークに差し掛かった時

樹氷だ!!
下から登ってくる時に、微塵にもその姿が確認できなかったので諦めかけていたが、最高の青空霧氷が見られた。



青空霧氷が彩る山頂は絶景の宝庫!

登山開始から2時間半で、ようやく山頂へ。どっしりと佇む、その鈴鹿の雄大な山々に見とれてしまう。あの奥には昨年12月に登った竜ヶ岳。

いやぁ霊仙の時も思ったけれど、鈴鹿のスケール感は半端ない!
たかだか標高1000m少しの集まりとは思えない。


少し時間があったから、山頂近くの稜線へ霧氷探しに。青空と霧氷の共演は一度見たら、きっとこの世界の虜になる。筆舌に尽くし難いほどに美しい雪山の芸術作品。

山頂付近で一部見れたからこそ、感動もあるし達成感もある。

今回も大変素晴らしい雪山登山となった。やはりタイミングを逃さず、天気が良いと予想されるときは山を攻めるに限る。


雪山の原点的な楽しさを味わえる樹林帯や霧氷、そして雪原と、雪山としての藤原岳の魅力は多い。そして改めて鈴鹿山系は素晴らしい山域だということを実感。

また天気が良い冬に登りに行きたい!
これ以外にも、鈴鹿山脈には雨乞岳、入道ヶ岳、釈迦ヶ岳、御池岳、鎌ヶ岳や御在所など登るべき山はたくさん!!登山という趣味を持つだけで、世界は広がるなぁ〜と実感する今日この頃。



このしおりのライター

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