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2020-03-14

*沖縄*【雨の日】どこ行く?~北部編~

沖縄観光というと、晴れた空、まぶしい太陽、青い海などを想像される方も多いかもしれません。

実は、気象庁の公開する日照時間データによると、沖縄県の日照時間はとても少なく、曇りや雨の日が多いんです。

せっかく沖縄に来たのに雨模様…

そんな時にオススメしたい沖縄の巡り方は、人にふれ、自然を知り、体験するコトです。

今回は、コアな沖縄をじっくり味わえる北部編をお届けします。



美ら海水族館近くにある、地元の香り漂うもとぶ町営市場。
その市場内に、一軒の自家焙煎珈琲屋さんがあります。

その名も “みちくさ”。

本当に、みちくさしたい時、ふらっと訪れたくなる小さな落ち着きあるスペースのお店です。

ここで、こだわりのコーヒーを看板商品に、お店を営んでいる知念ご夫妻。
その人柄は、誰もが懐かしさを覚えること間違いなし!
まるで親戚の家に来たかと勘違いするほどのあたたかさで、市場近くのご近所さんも足しげく通う熱狂的ファンもいるほど。

▲ 楽しいおしゃべりと、アイスコーヒーを淹れてみせてくれるオーナー知念さん

実際、私がお話を伺った日も、近所のマダムが「ねえー!聞いた?○○ちゃんの話!」とお店を訪れて、「だからよー!もーどうするかね~」なんて会話が繰り広げられていました。

もはや家族となっている市場コミュニティーに私は胸を躍らせました。

この市場内には、ありし日の昔懐かしい沖縄があって、それは私たちの幼いころの“記憶”とも結びついているあたたかな居場所。

沖縄の魅力が詰まったもとぶ町営市場には、そんな“記憶”がまだまだ残っています。
オーナー夫妻の物語から、そんなもとぶ町営市場の力強く、あたたかな沖縄の人たちにふれてみましょう。




きっかけはオバーの洋服屋から

知念夫妻が大通り沿いではなく、ここで珈琲屋さんをしようと決めたきっかけが気になって、そのいきさつをお伺いしました。

知念さん:実は、この市場は主人の育った地元なんです。そのころ、主人のオバーは市場内で洋服屋さんを営んでいて、学校からオバーの家にかえってきて、この市場内で遊ぶ、それが日常でした。でも、月日が経って、主人が大学を出るころには、ほとんどの店舗が借りてはいるものの、営業はしていない幽霊店舗になってしまっていたんです。

オバーのお店存続のために奮起したのか!?と妄想を膨らませていましたが、この珈琲屋さんを開くまでには、まだストーリーがありました。

知念さん:結婚後、出産・子育て、となったとき、ホテルのフロントで勤めていた私は、育児と仕事の両立に難しさを感じていました。そのころ、本部の手作り市に参加していたのですが、市場内の空き店舗の出店募集をかけるという話が転がり込みました。

聞くところによると、市場空き店舗の倍率は高く、かなりの狭き門だったそう。

▲ 親が市場で営業している間、休憩スペースで遊ぶ子どもたち。

知念さん:こればかりは、計算のしようがないもので、全てのタイミングが合ったからこそなんです。特に、決め手だったのは、忙しい仕事を終えて、子どもを迎えに行った保育園での出来事。迎えに行った保育園で、子どもが歩いているのを見て、「歩けるようになってる!」と感動すると、保育士さんが「前から歩けてましたよ?」と。わが子の成長に気づく間もないほど忙しい生活を送っていたことにかなりショックを覚えましたね。

そう語る知念さんの悔しそうなこと!
ここなら、夫のオバーのように子どもをあやしながらでも仕事を続けていける!そう感じて応募し、見事出店の権利を手に入れたのだそうです。

自分のライフスタイルに必要なものを見極める強さと、それに合ったタイミングでめぐってきたチャンスをものにしていく。
そんな人生を切り開く強さを垣間見る事が出来ました。




こだわりと沖縄らしさが息づく街で

知念さんの入れる自家焙煎の珈琲は、「こんな小さな珈琲屋さんに収めておくのはもったいない!」と感じるほど!

珈琲豆へのこだわりについてもお伺いしました。

知念さん:他の店舗はどうか分からないんですが、私たちの焙煎する豆の美味しい香り・特徴が分かるのは2週間が目安なんです。2週間以上経つと、珈琲豆の中にあるガスが出切ってしまって、お湯を注いだ時にふくらみが足りず、香りも旨味も感じられない珈琲になってしまうんです。それで、2週間以内の鮮度のいい珈琲だけを提供しています。

▲ この日頼んだのはカフェインレス珈琲。普通の珈琲と疑うほど深みがあって美味しい。

自家焙煎しているだけあって、珈琲の美味しさに直結する鮮度へのこだわりは、まさにプロ品質。

知念さん:おいしい珈琲の酸味は、劣化からくる酸味とは全然違います。うちでは、爽やかな酸味の珈琲豆からビターな物まで取り揃えていて、お客様の好みの味をお伺いして、どの豆がいいかオススメする事があるんですが、新鮮な珈琲の酸味を味わって、酸味のある珈琲への印象が変わったという方も多くいらっしゃいます。

「どんな珈琲が好みなのかわからないという方も、ぜひ気軽に聞いてほしい」と知念さん。

そこから会話も広がるし、人とのつながりで楽しめると語っている姿に、本当にこの街と人を愛しているんだと感じました。

そんな知念さんの珈琲屋さんには地元の方だけではなく、本土にも常連のファンがいらっしゃるようです。

▲ 沖縄の歴史や文化を扱った本をゆっくり読むことの出来るスペース

知念さん:常連さんの中には、震災で地元の商店街がなくなってしまって寂しく感じているという方々もいらっしゃいます。この市場で人とのつながりを体感して、まるで自分の知っている地元の商店街で、ご近所さんとのつながりを体験しているような感覚になるんでしょうね。 時には、「ちょっとだけ店番してて~」ということもあったりして(笑)それが良いのか悪いのかは別にして、そこに昔ながらのなつかしさを感じるという方が集ってくれています。

沖縄のいちゃりばちょーでー(集えばみな兄弟)精神が、みんなの心をほぐして豊かにしてくれる。

それはある意味、沖縄の生活の中に染み込んでいる空気を体感すると言えるかもしれません。

世間一般でいう“旅”とは一線を画した出会いを体験できる魅力がたくさん詰まった市場で、懐かしくもあり、新しくもある沖縄を再発見出来ました。




自慢のお手製スイーツでさらにトリップ!

知念さんご夫妻お手製の豆花(トウファ)は台湾で有名な豆乳スイーツ。

短期留学で滞在していたこともあるという台湾で、そのパワフルな人や滋味に満ちた食べ物の魅力にどっぷりとはまった事をきっかけに、台湾ブームが続行中!

夫婦で試行錯誤の結果、現地で味わうようななめらかな舌ざわりを再現した至福の一品!
トッピングには甘く煮たお豆と、コーヒーゼリーを添えて、苦みと甘み、とろんとした舌ざわりがやみつきになります。

沖縄に居ながらにして、海外旅行に行った気分を味わえるなんて、いいとこどりの贅沢な時間です。

他にも、その季節に手に入ったフルーツを使ったケーキも提供していています。

知念さん:娘が料理専攻の高校に行きたいといってくれていて、今度は娘と一緒につくったバナナケーキを出してみようかなって(笑)

ホームメードスイーツは、愛情もスパイスとしてたっぷり盛り込まれているでしょうね!

世界に一つだけの美味しいスイーツを味わえるのも、ここ“みちくさ”ならではの魅力の一つです。

更に店内には、台湾で仕入れてきた可愛らしい雑貨も取り扱っています。

どれもカラフルで、ユニークなアイテムばかり!
異国情緒あふれるそのセンスも来る人をとりこにしているポイントかもしれませんね。

オーナー夫婦で造りあげたというジンジャーシロップもすごく気になります…

今回私は購入しなかったのですが、(残念!)次回こそは試してみたいです!




さいごに

沖縄雨の日をテーマに北部編をご紹介しました。

マリンスポーツや自然風景を楽しめる沖縄。
もちろん、そこで楽しめる事もいっぱいあります。

でも、天気が悪い日こそ感じてほしいのは、そこに暮らす人とのふれあいから得られる新しい体験。

それは、そこにいるからこそ感じられる沖縄の魅力を存分に楽しめる時間なのです。

「ブログを見たり、体験談を見るだけじゃ本当にもったいない。」

そう語ってくれた知念さん夫婦から、再発見した沖縄の魅力。

ぜひ、もとぶ町営市場でコアな沖縄を感じてください。
そして、沖縄に息づくアットホームな空気を、美味しい珈琲とスイーツをおともに味わってください。

みなさんの沖縄旅に少しでも花を添えられますように!
さいごまでお読みいただきありがとうございました!



このしおりのライター