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2019-03-15

【和歌山】世界遺産「熊野古道」を歩こう! 初心者にもおすすめのコース

「木の国」が転じて「紀の国」と呼ばれるようになった、という説があるほど、和歌山県は森林が多い県。

そんな和歌山県で、木々に包まれた「熊野古道」を歩いてきました。
大自然の中で露天風呂を楽しめる温泉旅館など、あわせて訪れたいスポットもご紹介します。





「熊野古道」とは

▲ 石畳の道が美しい

「熊野古道(くまのこどう)」とは、熊野三山への参詣道のこと。熊野三山は「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「熊野那智大社」の3つの神社の総称で、平安時代から鎌倉時代にかけて特に信仰を集め、多くの人々がこの地を目指しました。

2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されています。巡礼の道として世界遺産に登録されているのは、今のところ世界で2箇所のみ。(もう1箇所はスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」。)

▲ ガイドしてくださるのは、語り部の小松さん

熊野古道には複数のルートがあり、編集部が歩いたのは、田辺から熊野本宮大社へ向かう「中辺路」の一部。
比較的歩きやすいと言われている中辺路の【発心門王子〜熊野本宮大社】(約7km)が、最も人気のあるコースなんだとか。発心門王子へは路線バスでアクセスできます。

今回は「熊野本宮語り部の会」の小松さんに案内していただきました!
熊野古道にまつわる歴史や文化、古道沿いの自然についてなど、ただ歩くだけでは分からないことをたくさん教えていただけるので、熊野古道を歩くなら語り部の方に同行していただくのがおすすめです。





熊野古道「中辺路」を歩く!

▲ いざ、出発!

熊野古道というと森の中を歩くイメージでしたが、アスファルトの道もあるんですね。
小松さんのお話によると、このエリアは人家があるため舗装されているとのこと。もう少し進むと、昔の山道が残っているゾーンへ入ります。

▲ 顔を上げると、どこか懐かしくなるような、のどかな風景が広がっていました

▲ 番号の書かれた道標を目印に歩こう

写真のような番号の書かれた道標が500メートルおきに立っているので、個人で行かれる方はこれを目印にしましょう。

69番の道標付近に休憩所があり、その向かいの高台が「伏拝王子(ふしおがみおうじ)」と呼ばれるポイントです。

▲「伏拝王子」からの風景 遠くに熊野本宮大社旧社地(大斎原)が見える

熊野本宮大社を目指してはるばるやって来た旅人が、ここで初めて熊野本宮大社を目にすることができ、思わず伏して拝んだことから伏拝と呼ばれるようになったと言われています。

伏拝王子から先は、木々に囲まれた未舗装の道。

▲ 熊野古道は一般の方が修復・保全のボランティアに参加し、土入れなどをおこなっているそう 世界遺産としてはかなり珍しい!

▲ 徐々に古道らしくなってきました

歩いていると、意外にも下り坂が多いことに気が付きます。
それもそのはず、先ほどの「伏拝王子」が標高244mであるのに対し、「熊野本宮大社」がある地点の標高は43m! なだらかな下り坂中心のルートなのです。

▲「九鬼ヶ口関所」

途中、木で作られた門が現れます。これは、もともと別の場所にあった関所を再現したもの。関所で熊野に入る参詣者あらためをしていたのだそうです。

▲ 当時は関所を通る際に、通行手形と通行料が必要だった



さあ、どんどん進みますよー!

▲ この看板が、見晴台の目印

本来のルートからはほんの少し外れますが、眺めの良い場所があるということで小松さんが案内してくださいました。「ちょっとより道」と書かれた看板が目印です。

▲ 見晴台からの眺め

熊野本宮大社旧社地(大斎原)の巨大な鳥居と、美しい山々が見渡せます。先ほどの伏拝王子からはあんなに小さく見えたのに、随分近付いてきましたね!

▲ 長い歴史を感じる石畳の道

ここまで来たら、あと少し。 デコボコの石畳の道を下ります。この石畳は江戸時代初めに敷き詰められたものだというから驚きです。

最後に住宅街の舗装道路を歩くと・・・ 見えてきました、熊野本宮大社!

▲「熊野本宮大社」へ到着

左側に鳥居が見えていますが、鳥居横の細い道が本来の熊野古道! 垣根にぽっかりとあいた穴を通り抜け、熊野本宮大社へ参拝します。






「熊野本宮大社」

▲ 明治24年に現在地に移築された「熊野本宮大社」

熊野三山のひとつに数えられ、全国に3000社以上ある熊野神社の総本山にあたる「熊野本宮大社」。こちらも世界遺産に登録されています。

熊野本宮大社はもともと、熊野川・音無川・岩田川の合流点にある「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる中洲(伏拝王子や見晴台から見えた場所)にありました。ところが、1889年(明治22年)の洪水によって大部分が流出。1891年(明治24年)に、流出を免れた上四社三棟が現在地へ移築・再建されました。

というわけで、「大斎原」もセットで訪れましょう!





熊野本宮大社の旧社地「大斎原」

▲ 大斎原の大鳥居

現在の熊野本宮大社から大斎原(おおゆのはら)へは歩いて数分。高さ約34mもの、日本一の大鳥居が立っています。

▲ この先に石祠が建てられている

江戸時代まで中洲への橋はかけられておらず、人々は川を歩いて渡り、川の水で身を清めてから参拝したそうです。現在、大斎原には石造の小祠が建てられています。

※大斎原では無断での撮影や、喫煙、草木の採取などが禁止されていますのでご注意ください。






大自然の露天風呂で疲れを癒そう

▲「山水館 川湯みどりや」に宿泊

熊野本宮大社の周辺には、「湯の峰温泉」「渡瀬温泉」「川湯温泉」の3つの温泉が湧いています。編集部が今回宿泊したのは川湯温泉の宿「山水館 川湯みどりや」。

▲ 露天風呂 ※取材のため許可を得て撮影しています。

川湯温泉は、河原から温泉が湧き出る全国でもめずらしい温泉。「山水館 川湯みどりや」では、こんな開放的な露天風呂で疲れを癒すことができますよ!

露天風呂は2つありますが、厳密に男女で分かれているわけではなく、夫婦で一緒に入ることも可能。女性は露天風呂専用の浴衣(湯着)を着用して、男性はタオルを着用して入浴しましょう。






自然いっぱいの熊野を訪れてみませんか?

初めての熊野古道歩きにもおすすめなコースと、熊野本宮大社、大斎原、そして川湯温泉をご紹介しました。 いにしえの旅人に思いを馳せながら、自然いっぱいの熊野古道を歩いてみてはいかがでしょう。



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このしおりのライター

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