“閻魔(えんま)大王”というと、冥界の王であり、嘘をついた者の舌を抜く恐ろしい存在だと思っている人も少なくないのではないでしょうか。しかし、そんなイメージとは異なる慈悲深い閻魔大王さまを祀っているお寺が東京都文京区にあるんです。
そのお寺こそ、石原さとみさんが出演している東京メトロのCM内で登場する、
“こんにゃくえんま”こと「源覚寺」です!
「こんにゃくえんま」の源覚寺とは?
東京メトロ 後楽園駅から徒歩5分ほどの場所にある「源覚寺」。大きな門などはなく、ひっそりとしていて落ち着いた雰囲気のあるお寺です。また、源覚寺は祀っている閻魔大王さまにこんにゃくをお供えすることから「こんにゃくえんま」という一風変わった愛称で親しまれています。
境内の見所①:御百度石
境内に入ってまず目に入るのが、この「御百度石」。今からおよそ150年前に建立されたもので、このボロボロになった石碑が長い歴史を感じさせます。
境内の見所②:凡太平洋の鐘
御百度石を過ぎると右手に釣り鐘が見えます。1690年に源覚寺に奉納されたこの釣り鐘は、太平洋戦争の際にサイパン島の南洋寺に転出した後、一時消息不明になっていました。しかし、1965年にアメリカで発見され、また源覚寺に戻ってきた奇跡の釣り鐘なんです。
境内の見所③:毘沙門天堂
凡太平洋の鐘の奥にあるのが「毘沙門天堂」。源覚寺の毘沙門天は「小石川七福神」のひとつで、お堂の中に祀られています。毘沙門天は財宝を授ける神様ということで、しっかりお参りしておきました!
境内の見所④:塩地蔵尊
境内の1番奥にあるのが「塩地蔵尊」。開創1624年以前よりこの地にあって人々の信仰を集めたと伝えられている、歴史あるお地蔵さま。古来よりお清めに用いられている塩をお地蔵さまの体につけてお祈りすることで、体の同じ部分の病気が治るといわれています。
私が訪れた時には、お地蔵さまの本体が見えなくなるほど塩がびっしりつけられていました。
境内一番の見所:閻魔堂
真っ赤な「閻魔堂」はパッと見、そんなに変わったところはないように見えます。しかし、よーく見るとお賽銭箱の左側には、閻魔大王が描かれた絵と見慣れない灰色の物体が積み上げられています。
その灰色の物体こそが“こんにゃく”なんです。
信心深く眼病治癒を祈願し続けた老婆に閻魔大王が己の右目を与え、その老婆が感謝のしるしとして自分の大好物のこんにゃくを食べるのを我慢し、閻魔大王に供え続けた。という言い伝えから眼病治癒の「こんにゃくえんま」として信仰を集めるようになったんだそう。
この言い伝えから、眼病治癒を祈願する人々が閻魔大王さまの力で病を治してもらおうと、閻魔大王さまが祀られている閻魔堂にこんにゃくを供える行為が現在でも続いています。
閻魔大王の絵の前にはたくさんのこんにゃくが積まれています。
老婆に目を与えた閻魔大王の右目が潰れているのが、この絵からもわかります。
私は眼病を患っていませんが視力がとても悪いので、これ以上視力が悪くならないように祈りを込めて、こんにゃくをお供えしました。お供えするこんにゃくはスーパーなどで買い、持参しましょう。
閻魔堂の奥には、高さ約100cmの「えんま王木造坐像」が安置されています。入り口からえんま像までは距離があり、またお堂の中は少し暗いので、ご尊顔がはっきり見えませんでした。
この閻魔堂、強風の日など荒天の日にはお堂を開放しておらず、えんま様を見ることができません。訪れる際は天候をチェックしてからにしましょう!
閻魔堂前にくくりつけられている絵馬にも閻魔大王さまが描かれていました。絵馬はこんにゃくえんま以外にも、毘沙門天や塩地蔵尊などの種類がありました。
こんにゃくえんまの周りにある、たくさんの「えんま」
お寺から出て歩いていると「えんま」と名前のつくものをいくつか発見!
こんにゃくえんまの隣にある居酒屋は「えんまや」、近くの商店街は「えんま通り商店街」。「こんにゃくえんま」は決して大きなお寺ではないですが、地元の人から愛されている、大切なお寺なんだなと感じました。
以上、「こんにゃくえんま」こと「源覚寺」をご紹介しました!
眼病治癒祈願でなくても、こんにゃくえんま様に自身の願いを伝えに行ってみてはいかがですか?