ビザ無しで渡航できる国の数が世界でもトップクラスで多い日本のパスポートですが、ビザが必要な国の代名詞として挙げられるのがこのロシアだと思います。
2018年5月現在、極東ロシアのウラジオストックやハバロフスクなどは電子ビザによるビザ申請の簡略化ができるようになったものの、いまだに首都のモスクワやサンクトペテルブルクを訪れるにはロシアビザ取得が必要です。
しかし、面倒なビザ申請をすることなく、サンクトペテルブルクに滞在できる方法が1つだけあります!!!!
それは、こちらのフェリーを使うことです!!
フィンランドのヘルシンキから出ている【サンクトペテルブルクライン】というフェリー会社が運航する船で往復し、市内ツアーという名の送迎バス予約など、所定の条件を満たせば、72時間以内ならビザなしでサンクトペテルブルクに滞在することができます!
サンクトペテルブルクラインHP:https://stpeterline.com/en_US
ヘルシンキ~サンクトペテルブルク間は行きが15時間、帰りが13時間かかるので船内で1泊することになります。船内には客室以外にレストラン、バーやカジノなどがあり、デッキの上に自由にあがることができるので、意外と暇を持て余すことはありませんでした。
ヘルシンキを夕方18時に出航し、翌朝9時にサンクトペテルブルクに到着します。船から降りた後にある入国審査をクリアしたら、最大2泊3日の観光の始まりです!
●サンクトペテルブルクの定番スポット●
72時間以内の滞在が可能とは言っても、船のスケジュール上、実際に滞在できる時間は最大60時間ほどです。その限られた時間で僕が訪れた定番スポット10か所を紹介します。
1:エルミタージュ美術館
サンクトペテルブルクといえば、エルミタージュ美術館!というイメージの方も多いのではないでしょうか?現在は世界三大美術館のひとつであり、ロシア帝国時代の皇帝が冬に過ごす「冬宮」として使われていた巨大美術館です。
美術館である以前に宮殿なので、内部は豪華絢爛な装飾で埋め尽くされており、僕の場合は軽く見学しただけでも4時間以上もかかってしまいました。あまりに巨大すぎるのでエルミタージュ美術館だけでも10選記事が書けそうなほどです。
写真はゲートを通ったら最初にある、通称「ヨルダン階段」と呼ばれる大使の階段。ロシア帝国時代は多くの外国使節団を迎えた正面玄関だったそうです。そのスケールの大きさは圧巻です。ここ以外にも宮殿内部には豪華な大広間がたくさんあります。
2:血の上の救世主教会
皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所に建てられた、ロシアらしい玉ねぎ頭の教会です。1907年に完成したので、比較的かなり新しい教会だそうです。色合いやフォルムは、なんだかおもちゃのようで可愛らしいです!
僕が訪れたときは残念ながら一部が工事中でしたが、多くの観光客でにぎわい、独特の存在感があります。サンクトペテルブルク市内でも有数のスリが多くいるスポットらしいので観光の際は気をつけましょう。
一番高いところは85メートルあり、内部には当時の一流画家たちによる、たくさんの豪華なモザイクがあります。教会内にはお土産屋さんもあります。
3:イサク聖堂
フランス人建築家によって1858年に完成した巨大な大聖堂。エルミタージュ美術館からも徒歩10分ほどでアクセスできます。72時間ビザフリールールで申し込まなくてはいけない、サンクトペテルブルク港からの市内バスツアーは、このイサク聖堂前の広場が終点なので観光のスタートにはもってこいの場所です。
高さ約60メートルあるドームの展望台には階段で登ることができ、サンクトペテルブルクの景色を一望できます。聖堂前の公園はウエディングフォトの定番スポットになっているようで、何組か新婚さんたちが正装をして撮影していました。
大理石や孔雀石が使われた内部に描かれた、豪華なモザイクやフレスコ画は必見です!帝政ロシアの教会の中でも最大規模のもので一番高いところは高さ101.5メートルあります。
4:カザン聖堂
後述のネフスキー大通りに面しており、通りを挟んで血の上の救世主教会の近くにあります。サンクトペテルブルクの有名教会の中で、このカザン聖堂だけが入場料無料で入ることができます。
上から見ると十字架の形になっており、ロシア正教の教会の中では珍しいそうです。カザン聖堂は上述の2つの教会とは違い、観光客用の博物館兼教会のような感じではなく、ロシア正教の信仰の場としての教会なので、熱心な信者の方がたくさんお祈りに来ていました。
内部には、豪華な装飾は少なく、最も厳かな雰囲気が漂っています。写真中央にある「カザンの聖母」イコンの前には、たくさんの信者の方々がお祈りのために並んでいました。
5:ペトロパブロフスク要塞
サンクトペテルブルク発祥の地として1703年にピョートル大帝によって建設されました。敷地内自体は無料で入れますが、大聖堂や博物館などはチケットが必要です。共通入場券があるので、それを買うとお得に見学できます。
122メートルもある鐘楼を持つ大聖堂で、皇帝一族がここで眠っているそうです。上述した他の大聖堂に比べると小さいですが、内装の豪華さは負けていません。
ネヴァ川パノラマ遊歩道には大聖堂とは別料金で入場できます。景色自体は綺麗なのですが、夏場の午後の場合、エルミタージュ美術館の方向が逆光になるので、行くなら午前中に行ったほうが良いと思います。
6:ペテルゴーフ
サンクトペテルブルクの南西約30キロのところにある、ピョートル大帝の夏の離宮。市内からはバスを乗り継ぐか、エルミタージュ美術館そばの船着き場から高速艇に乗って30分ほどでアクセスできます。ロシアは[Uber]や[Gett]といった配車サービスも利用できるので、タクシーを使うよりはこちらの方が安くて安心です。
ハイシーズンは入場チケットを買うのに1時間半は並ばないといけないなど、非常に混みあうため、早めに行くことをお勧めします。5月の時点では、特に並ぶことなく買えましたが、広大な敷地内にはすでにたくさんの観光客でごった返していました。
こちらの写真にある大宮殿はチケットが別売りです。ツアー客やロシア人用のチケット売り場とは別なので必ず場所を確認してから並びましょう!なお。このペテルゴーフがサンクトペテルブルクの中でチケット代が最も高額です。公園敷地内に入るチケットが900ルーブル(約1600円)、大宮殿は1000ルーブル(約1785円)もしました。
7:マリインスキー劇場
今回紹介するスポットの中で、僕が最もお勧めしたいのがマリインスキー劇場です!ロシアに来たからには本場のロシア物のバレエやオペラを見てみたいと思い、2日連続で行って来ました!下の写真はマリインスキー劇場本館のホールで、チャイコフスキーの「マゼッパ」というオペラを観ることができました!
演目やシーズンにもよりますが、チケットはなるべく事前にインターネットで購入しておいたほうが良いです。もし当日券があればチケットオフィスで直接買えますし、公演前にダフ屋も数人いたのでチケットが手に入らないということはなさそうですが、事前購入の方が安心です。特に人気の演目は売り切れることが多いので注意してください!
こちらが本館の隣にある、2013年に完成したばかりのマリインスキー劇場Ⅱ。僕はここでチャイコフスキーの「眠れる森の美女」を観ることができました!今までフランスやウクライナなど、数カ国でバレエを見てきましたが、マリインスキーのバレエは頭一つ抜けていた印象です。オーケストラの演奏も本当に素晴らしいものでした!
8:旧海軍省
イサク聖堂とエルミタージュ美術館の間にあり、隣にあるデカブリスト広場は市民の憩いの場になっています。入場することはできませんが、サンクトペテルブルク有数の美しい建造物です。
個人的には、旧海軍省近くの通りにあった「ヤルメン」というラーメン屋さんのビジネスランチがお得で美味しく、ロシア人の店員さんたちの接客も日本式でとても好印象でした。旅中に日本食が恋しくなることがあったら、是非とも行ってみてください。
ヤルメンHP: https://www.yarumen.com/
イサク聖堂の展望台から見下ろした旧海軍省。隣にはエルミタージュ美術館、川を挟んでペトロパブロフスク要塞も一緒に撮影できました!展望台は9月末までは夜間も空いているので、夜景を見に行っても良いかもしれません。
9:ネフスキー大通り
サンクトペテルブルクのメインストリートになっており、通り沿いにはカザン聖堂や血の上の救世主教会といった観光スポットだけでなく、ファッションブティックやカフェやレストランも多く立ち並んでいます。観光と買物にちょうど良い大通りです。
僕は入場していませんが、ストロガノフ宮殿もこの通りにあります。サッカーが好きな方はロシアの強豪、ゼニト・サンクトペテルブルクのファンショップもこの通りにあるので寄ってみると良いでしょう。
10:クンストカメラ&ネヴァ川
サンクトペテルブルクを建設したピョートル大帝によって建てられた博物館で、民俗学に関する総合博物館になっています。建物の水色はネヴァ川と青い空と綺麗にマッチしていました。
写真右側にある赤い塔は「ロストラの燈台柱」と呼ばれ、柱には緑色の複数の船首(ロストラ)がついています。また、そばにある宮殿橋は跳ね橋になっており、夜中にはライトアップされながら、航行する船のために跳ね橋部分が上がるそうです。
●注意点&まとめ●
最初に述べたように、この記事で紹介したビザフリールールは72時間以内の滞在が可能ではありますがフェリーのスケジュール上、実際に滞在できるのは60時間ほどです。もし、72時間を超えてしまった場合、罰金に加えて5年間のロシア入国禁止の措置がとられるそうなのでプランニングは十分気を付けてください。
「サンクトペテルブルクライン」ビザフリールール: https://stpeterline.com/visa-free-rule
また、この記事ではヘルシンキからの渡航について紹介しましたが、実際にはストックホルムやタリン、リガから出ているフェリーでもビザフリールールは適応できます。しかし、便数がヘルシンキに比べて少ない点と、時間がかかりすぎるため、僕はヘルシンキからの往復を選びました。
治安に関しては、スリへの警戒を怠らなければ特に危険を感じることはありませんでした。また、ロシアは英語が通じないと聞いていたので心配でしたが、観光客がよく行くような場所では特に問題なく通じました。
ロシアの「水の都」といわれるように、ネヴァ川周辺の景色は非常に美しく、何より世界屈指の音楽や芸術を体験できます。物価はロシアにしては高いですが、北欧に比べるとかなり安いですし、ロシアルーブルのレートもいまだに安いです。
最高でも2泊3日と、弾丸スケジュールではありますが、ビザフリーで滞在できるのは本当に便利です。来月のワールドカップシーズンや夏場はとても混みあうので、その時期を外したシーズンにでもヘルシンキから行かれてみてはいかがでしょうか?