2008年「福建の土楼」として世界遺産に登録されて以来、訪れる人が増え、観光地化が進む福建土楼。
かつてはNASAが航空写真に写ったその奇妙な形の建物をミサイル基地だと勘違いしたこともあるとか。
福建省には2万を超える土楼が存在し、その殆どは現在も昔から変わらず住居として利用されています。
「福建の土楼」として登録されたのは3,000ほどで、観光目的で行くことが出来るのは「永定土楼群」「南靖土楼群」「華安土楼群」の3つの土楼群。
今回は3つの土楼がある「華安土楼群」を訪ねました。
華安土楼群
廈門(アモイ)から車で約3時間。
茶畑が広がる山間に点在しています。
入口のゲートから土楼まで電気カートも走っているので、体力温存したい方にはオススメです。
1.世界最大の土楼「二宜楼」(にぎろう)
1740年に建設され30年の月日を費やして完成。
客家(はっか)の蒋氏一族が暮らす住宅です。
強靭な土壁で囲まれた円形の建造物。
入口は1つだけ。来訪者との会話用の穴が設けられていました。
内部に足を踏み入れると広々とした中庭が、そして2つの井戸。
1階は台所、2階は倉庫、3、4階が居住スペースとなっており、1階から4階までの縦一列が1区画の構造です。
そして4階には外側に面してぐるりと一周できる共同廊下が張り巡らされており、ここから外部を見渡せるので、敵からの防御に備えることができるのです。
家族写真や祭壇などもあり、一族のつながりの大切さを窺い知ることができました。
2.博物館になっている「南陽楼」(なんようろう)
二宜楼より一回り小さい土楼で、ほぼ全ての部屋が展示室になっている博物館です。
新婚さんの部屋や学びの部屋が再現され展示されていました。
誰も住んでいないハズなのですが・・・あれ?洗濯物が干してある。
これも「再現」の一部なのでしょうか。
3. 方形土楼の「東陽楼」(とうようろう)
四角い形で2階建ての造り。ここが一番「生活感」溢れていました。
実際ここで暮らす人々の部屋の前を通ったり(ドアが開けっ放しなので中丸見え)、生活の場にずかずか観光客が立ち入っていいのだろうか?とこちらが気後れするくらい。
上から見るとドーナツのような形の集合住宅。
原住民や盗賊などから身を守るために「土楼」という不落の城を築いた客家たち。
要塞としての住居は、なるほど理に敵っており、生活と防衛の知恵がつまっているその造りと仕掛けに、感心と驚きの連続でした。