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【徳島】“西の高野”太龍寺から空海が俯瞰した風景を眺めてみた

こんにちは、しのわずりです。
「お大師様は、四国の山に茶が自生しているのをご覧になった」
どこかで見聞きした言葉だけを頼りに、空海が見たという山茶のある風景を探したのは何年も前の暑い夏のこと。

そして、今年の夏も暑かったけれど、太龍寺には涼しい風が吹いていました。

♣“西の高野”舎心山常住院太龍寺

「遍路転がし」の異名をもつ21番札所太龍寺(たいりゅうじ)は、樹齢数百年の巨木に覆われた海抜600mの山の頂近くにあります。昔は狼が出ると言われていて、歩き遍路にとっては屈指の難所でした。

険しい斜面をよじのぼって「舎心ヶ嶽(しゃしんがたけ)」という岩上で1日1万回100日間マントラを唱えるというような虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)の荒行をした空海(弘法大師)19歳の頃、その様子を24歳の時の著作『三教指帰』に記しています。

「阿国太龍の嶽によじのぼり、土州室戸の崎に勤念す 谷響を惜しまず明星来影す」

太龍寺舎心ヶ嶽

今はロープウェイがあるので、昔と比べてらくちんです。
太龍寺ロープウェイは全長2775m。西日本一の規模を誇るロープウェイ、たった10分で寺前まで運んでくれます。

100人乗れる太龍寺ロープウェイ

山頂駅を降りて太龍寺参拝の道とは別ルートを進みます。
舎心ヶ嶽方面には人の気配がなくても、山側斜面に等間隔に並ぶ八十八ヶ所の小さな御本尊のおかげで寂しくありません。

山頂駅を降りると「舎心ヶ嶽六八〇先」と道標が教えてくれます。

舎心ヶ嶽八十八ヶ所の小さな御本尊

若き日の空海が修行の地として登った大瀧嶽を臨めば、道なき道を全国各地くまなく歩いた空海の偉大さにふれることができます。
空海も歩いたであろう聖跡舎心ヶ嶽への道の途中、掃き清められた道が強い風に乱された時「今、お大師様が通り過ぎた」と、奉仕していた人が笑っていったのを見たのが、最初にここに来た時に見た風景でした。

舎心ヶ嶽の石標に辿り着つくと、木々の隙間からは空海像の後ろ姿が見えました。

聖跡舎心ヶ嶽を仰ぐと空海の背中がありました

前回は来たときは、ここまでだと思っていました。が、新しい局面がありました。今回もまた奉仕の方の言葉で気づかされたのです。岩を掴みながら、鎖のサポートを利用しながら、空海像に近づく道があるのだと。

空海そばまで行く歩道

「えぇ!そんなことして良いのですか?」聞くと、「若い人たちは一緒に写真を撮ったり、背中に抱きついたりしているわよ」との返事。
できるんだ!と思いました。俄然並び立って同じ風景を見てみたくなりました。

前回のように一人旅ならば諦めていたかもしれません。が、今回は友人と一緒です。一緒だと心強いねと励まし合いながら空海像にたどりつきました。

同じ場所を何回訪れても、新しい発見はありますね。峰の上に坐する空海の隣に立って同じ視線から見る風景、“空”と“海”、”空”の名を得るに至った風景です。

峰の上に座る空海の隣に立ちました!

♣太龍寺本堂へ

本堂には大師が自ら刻まれた虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が御本尊として安置されています。
望みを無限に授けてくれる仏様に供える祈願線香を選び切れず、お大師様おまかせしますとお願いしました。

太龍寺本堂へ

祈願線香はどれを手に取るか迷います~

お大師様、おまかせします♡

♣お茶のある風景

太龍寺のある那賀町では、夏の頃お盆前くらいまでに作るお茶があります。
この日、相生晩茶(あいおいばんちゃ)の日干乾燥が行われていました。庭先で仕分け作業しているおばあちゃんとお茶談義。
お茶でも飲んでいきなさいと家から持ってきてくれた冷たい茶にお接待文化の有難さを感じました^^

お茶を干す風景

仕分け作業 おばあちゃん、御年91歳

冷たいお茶を、ありがとうございました。

このしおりのライター

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