中央アジアに位置するトルクメニスタンという国をご存知ですか?「◯◯スタン」という国はいくつか聞くけど、なかなか馴染みのない場所だと思います。今回は行ってみたら文字通り「謎だらけ」だったトルクメニスタンの旅をご紹介します。
中央アジアの北朝鮮
トルクメニスタンは中央アジアの国の一つで、カスピ海の東側に位置する国です。現在は大統領による独裁政権下にあり、観光客数の制限や報道規制が行われています。外からトルクメニスタンの実態をつかむことが難しく、その様子から「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれています。
旅行者も旅をするのは一苦労で、観光ビザやトランジットビザは高額だったり、手配が難しかったりと簡単に訪問できない国の一つです。でもそんな国だからこそ、少しでもいいから見てみたい!と、妙に旅人心をくすぐられてしまいます。
地獄の門へ
トルクメニスタンで絶対行きたい!と思っていた場所、地獄の門。大きなガスクレーターがある場所で、私たち観光客にとってはトルクメニスタンいち有名な場所と言っても過言ではありません。無事に入国手続きを終えたら、まずは地獄の門があるダルヴァザという地域を目指します。
道中は見渡す限りの砂漠です。トルクメニスタンは国土の約70%が砂漠地帯という国で、町を出たら次の町までは荒野が広がります。
ダルヴァザに着くと側道にあるチャイハネ(お茶屋さん)を目印に降ろしてもらいます。ご飯を食べ身支度をしたら、ここからは歩いて地獄の門を目指します。
チャイハネの店員さんにガスクレーターの位置を聞くと「ここからまっすぐだ」とのこと。
この日は45度を超える天気だったので、日が傾き気温が下がったのを見計らって出発。4リットルの水を携え、教えてもらった方角へ夕暮れの砂漠を歩きます。
背中に陽を感じながら夕日色の砂漠を歩きます。もはや迷子になっているかどうかもわからない状態…。
途中で砂漠を突っ切る線路を越えます。オレンジ色が綺麗。なかなかできない経験でした。
歩くこと1時間半…
だんだんと暗くなりはじめたところで、遠くに炎の明かりを発見!ここからは明かりを目印に歩きます。
チャイハネを出発してから2時間、ようやく地獄の門に到着です!
着く頃にはあたりはすっかり暗くなっており、ドカンと空いたクレーターから炎の明かりと轟音だけが広がります。
▲ とても大きいクレーターです!
ガスを浴びないよう風向きに注意して穴の近くまで行くと、炎からは距離があるのに熱くてびっくり。顔が痛くなるくらいの熱を感じました。広大な砂漠にポッカリと空いた穴は、まさに異世界への入り口のようです。
この地獄の門は、今から50年ほど前にできたと言われています。ここ一帯の地盤調査を行なっていた学者たちが天然ガスの洞窟を発見し、ガスの採掘を試みました。しかし、その最中に地盤の崩落が発生し、このような巨大なクレーターが誕生したのです。学者たちはクレーターから吹き出すガスを止めるために火をつけたものの、放出の勢いは止まらず、現在まで炎が燃え続けています。
この炎は人の手で発生したものであり、放出するガスは資源でもあるので、政府はクレーターの封鎖やガス田としての利用を考えているとの報道もあります。また、年々ガスの噴出量が少なくなっているとも言われているため、行ってみたい方は早めの計画をオススメします。
首都アシガバードへ
地獄の門の周辺で朝まで過ごし、翌日は次なる目的地、首都のアシガバードを目指しました。明け方の砂漠は静かで清々しくて、とっても気持ちよかったです。
一旦チャイハネまで戻り、預かってもらっていたバックパックを受け取り出発。アシガバードまでは6時間ほど。もちろんアシガバードに着くまではまた砂漠を走ります。
真っ白な首都
アシガバードに着くとまず驚くのは街の白さ。
建物は全て真っ白で、テーマパークに来たかのような気分になります。この町はほとんどの建物が大理石でできており、世界で最も大理石建築物が多いことでギネスにも登録されています。なぜこんなに真っ白なのかというと、「大統領が白色が好きだから」という理由だそうです。驚きですね!
私はカスピ海を挟んで隣国のアゼルバイジャンに向かうため、この後寝台列車でアシガバードを後にしました。
トルクメニスタンで食べたもの
私にはちょこっとアドベンチャーな旅であったトルクメニスタンで食べたものをご紹介します。まずは中央アジアではおなじみのプロフ。
日本でいう「ピラフ」です。シルクロードで各国に伝わった料理とされており、地域で呼び名が少しずつ異なりますが、作り方や使う食材はとっても似ています。こういった繋がりがとても面白いですよね。味は炊き込みご飯にそっくりで、日本人に馴染む美味しさです。中に入っている肉は羊肉や鶏肉であることが多く、とても美味しかったです。
もう一つ紹介します。こちらは入国してすぐに行ったバザールで食べたお昼ご飯です。
気温50度の真昼間、冷房がなく人の熱気で蒸している食堂で、「何も食べたくないけど、何か食べなきゃ死んでしまう…」という思いで頼んだ思い出の一品です(笑)
豆の水煮とマッシュポテトでした。食堂内が暑すぎて、急いで食べて出たのを覚えています。味は…暑さをしのぐための栄養が取れたので良しとします!(笑)
いかがでしたか?簡単には行けないトルクメニスタンですが、頑張ってビザを取ってしまえば、その先にはワクワクするような未知の世界が広がっています!地獄の炎と白亜の都市をぜひ自分の目で見てきてください!