今回は、東京都内で「和」の趣を存分に味わえるお茶屋さんをご紹介!
入園料・お茶代を合わせて千円以内の、お手頃価格で美味しいお抹茶をいただける場所に絞ってみました。都心にいることを忘れてしまいそうな素敵な空間、ぜひチェックしてみてください。
「楽羽亭」
こちらの茶室があるのは都会のオアシス、新宿御苑の中。大人200円で入園することができます。
すぐ外に高層ビルが建ち並んでいることを忘れさせる緑豊かな敷地内を歩いていくと、案内表示が。
新宿にもこんな山道みたいなところがあるんですね!と驚きながらさらに進むと、絵に描いたような松の木がにょきっと現れました。
そして、その横に静かに佇んでいるのが楽羽亭です。
お金は入口左にある券売機で払うのですが、私の前に並んでた外国人カップルが小銭を入れる場所がわからず困っている様子だったので、「Here! Here!」と、恥ずかしい英語力で教えてあげました。メニューは1つだけ、和菓子とお抹茶のセットで700円。
戸を引いて室内に入ると、中には先ほどのカップルと私だけで、静かで緊張感すら漂う特別な雰囲気でした。
まず先にお菓子が運ばれてきます。求肥で白餡が包まれた、上品な色にうっとり!
続いてお店の方がお茶を運んできたのですが、「お菓子からどうぞ。」とおっしゃったので、作法がわからずドキドキしながらも、言われた通りにお菓子を口に運んでみました。しかしその後すぐにお店の方は奥の見えない場所へ戻っていったので、そんなに人目を気にすることもなかったと思います。
ちなみに後で調べてみたところ、お抹茶の場合はお菓子を先に全ていただいてから飲むのがお作法だそう。確かに口の中が甘さで満たされているところにお抹茶をいただくと、苦味が心地よく感じました。
新宿にいながら古き良き日本の味と雰囲気が味わえるので、あえてお買い物ついでに寄るのも面白いかもしれません。
「古桑庵」
こちらの「古桑庵(こそうあん)」は、自由が丘駅から徒歩約5分、「LA VITA」の向かいにある茶房。緑に覆われた風情ある佇まいは、鎌倉の古民家を思わせます。
どこが入り口なのか少し不安になりながら、奥の方へ。
美しい日本庭園へ足を踏み入れると、もうすっかりここが自由が丘であることを忘れてしまいます。
庭園を囲む形で席があるのですが、他のお客様がいらっしゃることに気付くまで少し時間がかかるほど静かな空間です。皆さん庭園を眺めながらお茶を楽しみ、話すときは他の方の邪魔にならないよう小声でお話しされており、お客様もこのお店の雰囲気を大切にするために自然と配慮されている様子が伺えました。
入り口で靴を脱ぎ、一般の民家にお邪魔するような感覚で店内へ。
着いた席の横に飾られていたのは、夏目漱石が正岡子規に句評依頼したという句稿。
「古桑庵」という名前は、夏目漱石の娘婿である松岡譲氏が名付けられたそうで、茶室を作るための桑の古材も、松岡氏が調達してくださったのだとか。
かつて民家だったこの建物が、茶房とギャラリーとして一般に開かれたのは平成11年のこと。箪笥などの調度品は実際に使用されていたものであり、重厚な雰囲気が漂っていました。
メニュー豊富なため、お抹茶が苦手な方でも安心ですね。
お抹茶はお菓子付きで830円。
大きな窓から差し込む光と美しい日本庭園を前にすると、お抹茶がより一層美味しく感じ、心が落ち着きます。都心の喧騒から隔離された、とっても静かな空間でした。
「吹上茶屋」
吹上茶屋を訪れるには、地下鉄の駒込駅から案内表示に沿って道を進み、江戸時代の大名庭園である六義園の中に入ります。
入園料は300円。入口すぐにある園内地図を見て、吹上茶屋までは結構な距離がありそうだな・・・。と、覚悟を決めたのも束の間。
すぐに鮮やかな紫陽花がお出迎えしてくれ、ウキウキしてきました。
さらに少し歩くと目の前に広がるのは、ぐるりと緑に囲まれた大きな池!美しい日本庭園の景色に、すっかり魅了されてしまいます。
静かで繊細な空気を夢中で味わっていると、吹上茶屋までの道のりもあっという間でした。
和菓子とお抹茶で510円のセットは、夏季限定で冷抹茶も選ぶことができるということで、30℃近かったこの日は迷わず冷たい方を注文することに。
椅子は池に面しており、とっても心安らぐ眺めです。友蔵じゃないけれど、なんだかここで一句詠みたくなっちゃうなあ。
と、思うのも実は当然。六義園を築いた藩主・柳沢吉保は、『万葉集』や『古今集』などの和歌で詠まれた世界をこの庭園に再現したのですから。
席に腰をおろしてすぐに運ばれてきたのは、こちらの可愛らしい生菓子と鮮やかなお抹茶。氷が入っていますが味が薄まることはなく、しっかりと濃い上品な苦さでした。
時代を超えた不思議な冒険ができる六義園。こんな優雅な初夏、人生で初めてかもしれません。
慌ただしい都会の空気から離れ、心安らぐ空間で飲むお抹茶はどれも格別!
アクセスも価格もお手軽なので、ちょっと休憩したくなったときに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。