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2017-06-21

【ラトビア共和国】中世の面影とアール・ヌーヴォー、歴史建築を巡る旅

バルト海に面したバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の中でも最大の都市でもあるラトビアの首都リガ。様々な建築様式の建造物が入り乱れているリガの街は歴史建築の宝庫です!


リガ歴史地区 (旧市街)

第二次世界大戦にあっても壊されずに残っていたという旧市街。基礎となる部分は12世紀にドイツ人によって作られました。ハンザ同盟の中心として繁栄した街は中世ドイツの面影が色濃く残っており『ドイツよりドイツらしい』と表現されることも。



〇リガ大聖堂

ローマ様式、初期ゴシック様式、バロックおよびアール・ヌーヴォー様式の特徴を合わせ持つバルト最大の教会。世界で4番目にパイプが多いパイプオルガンやリガの歴史が描かれたステンドグラスは必見です。



〇聖ヨハネ教会

16世紀に再建されたゴシック様式の教会。生きた人間を壁に塗り込めば災いから建物を守ることができるという信仰があった中世に自ら志願して壁の中に入った2人の修道士がいました。彼らを偲んで造られた十字架の穴と修道士の顔のモニュメントが壁面に見られます。



〇三人兄弟の家

右から建築様式の古い順に並んでいます。注目すべき点はそれぞれの時代を反映した構造です。



  弟(左) 次兄(中央) 長兄(右)
時代 17世紀末 17世紀 15世紀
様式 バロック様式 オランダのマリエリスム様式 ゴシック様式
リガ最古の石造住宅
特徴 間口税徴収時期
間口が狭い
窓税廃止
長兄より窓が大きい
窓税徴収時期
窓枠と比べると実際の窓が小さい


時代に応じた税金対策。確かに、それぞれの特徴を見ると納得!




〇ラトビア人商人の住宅、通称『猫の家』

ユーゲント・シュティール(=アール・ヌーヴォー)建築としても評価が高いこの建物の尖塔には2匹の黒猫が。かつてドイツ人ではないという理由からギルド(ドイツ商人組織)への入会を断られた腹いせにギルド会館にお尻を向けた猫を屋根に置いて怒りを表したもの。その後、ラトビア人商人の入会も認められ、お尻の位置を変えたとか。



〇アマトゥ通りの住人

「職人」という意味を持つアマトゥ通りには昔のギルドの会館が並んでいます。



屋根の上には本を読んでいる人の像が。

建物上部にちょこんと置かれた像は他にもあります。リガの街では視線を上げて、見逃さない様気を付けて歩きましょう。



ユーゲント・シュティール(=アール・ヌーヴォー)建築群 (新市街)

ユーゲント・シュティールとは19世紀末から20世紀初頭にかけて展開した世紀末美術の傾向を指すアール・ヌーヴォーのドイツ語。

新市街には20世紀初頭に建てられたユーゲント・シュティール建築が300軒以上も残っており、特に有名なのは、ほぼ全ての建物がユーゲント・シュティールであるアルベルタ通りとエリザベーテス通り。



曲線と直線の組み合わせの中に人面や動植物などの装飾。一体どんな意図をもって設計されたのか想像を掻き立てられます。

▲ アントニヤス通り8



一番上の窓に見える部分は「空を切り取るため」のもの。ガラスは嵌っておらず、この枠の向こうには部屋もありません。粋な演出ですね。

▲ アルベルタ通り2a



人面や半身像が多く目につきます。よーく見ると、表情も豊かなんです!

▲ アルベルタ通り4

▲ アルベルタ通り6

でも、あまりにも顔がありすぎて夜道はちょっぴり怖そうです(^_^;)


エリザベーテス通りの中で最も注目度が高い物件はコチラ。

▲ エリザベーテス通り10b

青いファサードで目を惹くひときわ豪華な建物の上部からは、高さ2Mほどの巨大な顔がかなりの迫力で通りを見下ろしています。誰かに似ているとの噂も?!


しなやかな曲線で表された筋肉美の彫刻が印象的な集合住宅。

▲ エリザベーテス通り33


これだけまとまってユーゲント・シュティール建築が連なっている通りはヨーロッパでも珍しいそうです。実用性と芸術性が合体したデザインは独創的でとってもユニーク!建築の何たるかを知らない素人でも素直に楽しめる通りです。

歴史建築を巡りながら、シャレのきいた装飾物を探しながらの街歩きはいかがですか?


このしおりのライター

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