こんにちは。はじめまして孔雀です。
もともとの旅好きが高じ、40歳過ぎてから地球一周一人旅へ。
「きっと私の前世は『遊牧民』!」と、一つの所に長く居られない自分を、こんな風に言い表してました。そんな私、一か国目をモンゴルにしたのは、まさに遊牧民の方々にお会いしたかったから!こうして私の旅は始まりました。
トナカイ遊牧民とは
モンゴル北部、ロシアとの国境近くに「ツァータン」と呼ばれるトナカイ遊牧民が住んでいます。
~ツァータンについて~
ツァータンとは、モンゴル人が彼らを指して呼ぶ言葉で「ツァー」=トナカイ、タン=飼う人という意味ですが、蔑称である為、ここでは本来の呼び名である「トゥバ」と記します。
トゥバは昔からこの国境近くに住む民族ですが、1932年にモンゴルと当時のトゥバ人民共和国間で突然国境線を引かれ、彼らは分断されてしまいました。ロシア連邦トゥバ共和国やロシアに住むトゥバ達は、ライフスタイルを次第に変えたため、昔ながらの生活はこの地域にしか残っていないのだそうです。
彼らはトナカイと共に季節に合わせて移動しながら暮らし、そのミルク、バターやチーズ、時には肉を食料としています。以前は狩猟・採集を主としていたようですが、彼らの生活も変化していっているようです。
トゥバの方々の集落まで辿り着く方法
①首都のウランバートルからバスでムルンへ。(約15時間)
②ムルンでツァーガンノール行きのミニバスに乗り換え、険しいオフロードをひたすら16時間ほど…。(道が非常に悪く、お尻痛いわ眠れないわで、かなり辛い道のりでした。。。しかし、私はとてもラッキーなことに、このミニバスの中で、トゥバのご夫婦にお会いし、その後ご一緒することが出来ました)
③ツァーガンノールの村でトゥバのご夫婦の友人宅に1泊。
④翌日お昼過ぎに友人の車でタイガの森の入り口まで。(約4時間の道のり。そこでテントを張って1泊)
⑤翌朝、手配しておいた馬にすべての荷物を載せ、もちろん我々も馬に乗りタイガの森の道なき道を進むこと約7時間、ついにトゥバの方々の集落へ。(馬の手綱を放せなくて、写真に残せなかったのですが、馬が不憫に思えるくらい、それはそれは険しいタイガの森を抜けて行きました。)
※ウランバートルを出てから、トゥバの方々の集落に辿り着くまでに4泊5日かかってます。。。(ウランバートルからのツアーや、フブスブルク湖の街ハトガルからもホースライディングツアーがあるそうです。)
~国境周辺地区入域許可証~
モンゴルでは、外国人が国境から100㎞内の区域に入る場合パーミットが必要です。ツァーガンノールはこの区域に入っていますので、取得必須です。ウランバートルやムルン、北に上がったハトガルで取得出来ます。
トゥバの方々との生活
~住まい~
「オルツ」という移動式住居:木を組み合わせた骨組みに厚手の布を張って巻き付けたもので、移動がとても簡単だそうです。中には薪ストーブがあり、暖かく過ごせます。
〜食〜
ほとんど野菜は無いと思っていた方がいいでしょう。私の場合は運良くムルンでご夫婦が買い出ししてきたこともあり、ジャガイモや玉ねぎにありつけました。
・トナカイの干し肉のスープ
・玉ねぎと野草のスープに麺
・ミートパイ風
・自家製バターに自家製パンなど…
~一日の生活~
朝5時に乳搾り開始
約400頭ものトナカイを放牧
糞集め(干して燃料にするのだそう)
女性は川に水を汲みに行き食事の準備
男性は薪を切る(15キロ離れた場所からトナカイに載せて木を運んでくるのだそう)
午後は、トナカイの角や毛皮でアクセサリーや小物を作ったり(トナカイの角は漢方薬として非常に珍重される貴重なものだそうです)
住居であるオルツを作り直したり
大人も子供も一緒になってボール遊びをしたり
夕方になればトナカイを追い集め
それぞれの場所につなぎ寝かせます。子供達も総出で手伝い、いつまでもトナカイのところから離れない子供達を見ると、彼らにとって家族そのものなのだろうなぁと感じました。
訪れた7月上旬は22時ごろまで明るく、いつまでも笑い声が絶えませんでした。
〜気候〜
日中は半袖でもOKなほど、日差しが強いですが、夜は長袖2枚、フリースやジャケット、ダウンを着て、火を灯しても寒さを感じました。一日で四季を感じるような気候です。
〜費用〜
・馬(2頭と付き添い人)120,000Tg(約5,000円)
・オルツ代5泊6日 300,000Tg(約12,000円)
・食事20,000Tg(約800円)
感じたこと
「美しい」と何度も呟いてしまう光景と
この時期がベストシーズンであるという厳しい自然
太陽と川と草と木とトナカイの餌となる苔。そして、家族であるトナカイとそのトナカイを追う馬。
大きな家族を繋ぐ、想い合う気持ちと絶えない笑顔。
「なにもないけど、すべてある」
そんな満たされた場所でした。
そして彼らから、厳しい大自然と共存して力強く生きる姿を、突きつけられたような気さえしました。
容易な道中ではありませんが、モンゴルの奥地で暮らす遊牧民の方々の、地球に大地に感謝するその姿を学びに行く旅はいかがでしょう。