コーカサス地方に位置する、世界最古のキリスト教国アルメニア。紀元前301年に世界で初めてキリスト教を国教としたので、美しい山々に抱かれた、素晴らしい修道院の宝庫です。
以前は陸路・空路ともに有料のアライバルビザを取得しなければなりませんでしたが、2017年9月から日本人は完全ビザフリーになりました! そこで、友人たちとレンタカーで首都のエレヴァンとゴリスという街を基点に修道院巡りをしにアルメニアに行って来ました!
この記事ではアルメニア観光で絶対に外せない10か所を紹介します。
● エレヴァン市内 ●
アルメニアの首都であり、人口約106万人(2013年推計)を抱える同国最大の街エレヴァン。約302万人しかいない人口の3分の1以上がエレヴァンに住んでいます。世界最古の街としても知られ、周りを高い山々に囲まれたアララト盆地にあります。
写真は共和国広場にあるアルメニア歴史博物館。広場周辺は夜にはライトアップされます。
1:カスカード
街の北側にあり、階段またはエスカレーターで頂上にある展望台まで行くことができます。晴れた日は南東の方向にアララト山が見え、夜になると夜景を見に来ているカップルがたくさんいます。
頂上の展望台からはエレヴァンの街が一望できます。写真中央に移っているのが「オペラ・バレエ劇場」。本当はバレエの講演を見たかったのですが、僕が訪問した時はエレヴァン・ジャズフェスティバルというイベントをやっていたので観に行きました。
アルメニアの伝統楽器とブラスバンドがコラボレーションした講演で、音楽性としては若干クセが強めでした。アルメニアのテレビ局が取材に来ており、アジア人の客が珍しかったのか、インタビューされてしまいました(笑)
2:マテナダラン(古文書保管所)
アルメニアの古文書や写本など1万7000点が保管されている博物館でカスカードの展望台からも歩いて行けます。お土産屋さんが中にあり、入口ホールの内装も大変美しいです。
3:アルメニア人虐殺博物館
オスマン帝国末期の1915-16年にトルコ人によって150万人以上のアルメニア人が虐殺されたとされています。その悲惨な歴史を後世に伝えるための博物館です。内部の展示はショッキングなものが多く、トルコ側はその事実を認めていないため両国関係は国境が開かれておらず、未だに不安定です。
ツィツェルナカベルトという丘の上にあり、街の中心部から離れているのでタクシーを使った方が良いです。その際、値段は必ず交渉することを忘れないようにしましょう。
虐殺犠牲者記念碑の内部。中心の炎は燃え続けています。
● エレヴァン近郊 ●
エレヴァンの周辺にはアッと驚くような美しい修道院がたくさんあります。
エレヴァン市内からバスなどを乗り継いで行くことも可能ですが、アクセスが非常に悪いです。また、格安の日帰りツアーを企画している市内の旅行会社がたくさんありますが、参加客が敢行最低人数を下回るとその日はキャンセルになることがあります。
僕の場合は友人たち3人とレンタカーで周りました。オートマの車にGPS、Wi-Fi、保険をつけて2日間で147ユーロほどでした。アルメニアの物価を考えると少々高いですが、複数人で自由に観光したい方はレンタカーの方が良いでしょう。
4:エチミアジン
アルメニア使徒教会の総本山で2000年には世界遺産に登録されています。
市内中心部から車で30分くらいのところにあり、バスを使うと約40分で行くことができます。僕が行ったときは残念ながら絶賛工事中でしたが、内部は見学できました。
5:ズヴァルトノツ
7世紀に建てられた壮大な教会の跡地です。10世紀にあった大地震の影響で破壊されてしまい、現在は遺跡として残っているだけですが、こちらもエチミアジンと共に世界遺産に登録されています。エレヴァン市内にある小中学校の定番の遠足スポットのようです。
6:ガルニ神殿
アテネのパルテノン神殿のような作りで、アルメニア王の夏の離宮として建てられました。
エレヴァンの南東28キロのところにあり、車だと1時間もかかりません。バスを乗り継いで自力で行く場合は接続が非常に悪いので、ゲガルト修道院とセットになった日帰りツアーを申し込んだ方がいいと思います。
7:ゲガルト修道院
ガルニ神殿の東6キロ先にあり、こちらも2000年に世界遺産に登録されています。ゲガルトとは「槍」という意味で、キリストが磔刑にされたときに使われた「聖槍」がここで見つかったとされています。周りは美しい山に囲まれており、中世アルメニア建築の至宝と呼ばれています。
8:セヴァン湖
セヴァン湖はエレヴァン北バスターミナルからバスで1時間半、標高1897mの高地にあるコーカサス地方最大の湖です。湖の周りには9世紀に建てられた2つの修道院があります。修道院へはセヴァン湖最寄りのバスターミナル(湖から7キロ以上ある)からローカルバスを乗り継いで行かないといけないので、タクシーをチャーターした方が無難です。
写真1枚目のSevanavank修道院周辺にはホテルやレストランなどもあります。
こちらが Hayravank修道院。2つの修道院を周るためにセヴァンのバスターミナルから3時間ほどタクシーをチャーターしたところ、1人3000ドラム(約667円)でした。エレヴァン市内からの日帰りツアーに申し込むよりも値段を抑えられます。
9:ホルヴィラップ修道院とアララト山
トルコとの国境付近の小高い丘の上にあり、周辺にはブドウ畑が広がっています。ローカルバスで行くことも可能ですが、最寄りのバス停が遠いので車か格安ツアーで行く方が良いでしょう。
標高5165mあるアララト山は現在、トルコ領内にありますが、「ノアの箱舟」が漂着したとされる聖なる山。アルメニアの出入国スタンプにもアララト山がデザインされています。
夕日に照らされたホルヴィラップ修道院とアララト山の構図はまさに絶景です!
● ゴリス近郊 ●
アゼルバイジャンとの国境近くにあり、アルメニア南東部シュニク地方の本当に小さな田舎町ゴリス。次に紹介するタテヴ修道院を訪れるために、この街に一泊しました。
写真の通り、歩いている人はまばらで絵にかいたような田舎町です。ゴリスにはホテルが数軒あり、タテヴ修道院に行くために、ここに一泊する人が多いです。
ゴリスからタテヴ修道院に向かう途中での一枚。日常的に車道を牛が横切るのはインドだけかと思っていましたが、アルメニアでも同じでした(笑) 牧羊犬ならぬ、牧牛犬が牛たちを先導しています。
10:タテヴ修道院
数多くあるアルメニアの修道院の中で最も行くのが困難な場所にありますが、一番おすすめしたいのが、このタテヴ修道院です。雄大な山々をバックに、断崖絶壁の上にそびえ立つ光景はまさに圧巻です!
タテヴ修道院はそばにギネスブックに登録されている世界最長のロープウェイがあることでも有名です! 全長5752mあり、片道12分かかります。眼下に見える絶景は言葉では表せないほど素晴らしいものでした!
● まとめ&補足 ●
この旅ではコーカサス地方3カ国をセットで周りました。その3カ国の中で、個人的にアルメニアは一番絶景が多く、満足度が高い国だったと思っています。交通の便など難易度が少々高めではありますが、首都だけではなく、日程にゆとりをもって郊外の修道院にも足を延ばすことをお勧めします!
タテヴ修道院に向かう途中での一枚。国土のほとんどが山岳地帯にあるので、壮大な絶景をあちらこちらで見ることができます。
また、現在アルメニアはナゴルノ・カラバフ地域を巡って、隣国アゼルバイジャンと紛争中です。停戦合意はされているものの、国境は封鎖されているので両国を訪問する際はジョージア(グルジア)を経由する必要があります。情勢は落ち着いてはいますが、渡航の際は必ず最新の情報を得ることを怠らないようにしてください。
最低限の注意さえすれば、街中の治安は基本的に良い国なので安全に観光することができます。冬季は非常に冷え込むため、暖かくなってくる春先以降の旅にアルメニアの絶景散策はいかかでしょうか?