未承認国家って言われると、紛争とかが起きていてとても危ない感じがしますよね。確かに簡単には訪問できない国もありますが、中には情勢が安定していて比較的簡単かつ安全に旅行できるところもあります。
今回は「地球の歩き方」に掲載されるぐらい安全な北キプロス・トルコ共和国(以下北キプロス)のおすすめ観光スポットをご紹介します!
北キプロスとは?
北キプロスはキプロス島の北部に位置します。元々はキプロス島全体で一つの国家でしたが、現在は南北に分断されています。
キプロス島ではギリシア系住民とトルコ系住民が暮らしていましたが、1882年からイギリスがキプロスの植民地化を開始、イギリスお得意の分断政策により両者の溝は深まっていきます。1960年にイギリスから独立した後も溝は埋まらず、1974年に多数派であるギリシア系軍人がクーデターを起こします。そこにトルコ軍がトルコ系住民の保護を目的に介入、1983年に北キプロスが独立を宣言しました。現在、北キプロスを承認しているのはトルコ一ヶ国のみとなっています。
最近は融和がかなり進んでおり、以前はできなかった南北間の人の往来も可能となっています。僕は南から入国して、首都のグリーンライン(停戦ライン)を越えて北キプロスを日帰り旅行してきました。
▲ 手前が北キプロス国旗。奥がトルコ国旗。両国の深い関係性が分かります。
レフコーシャ(ニコシア)周辺の観光スポット
レフコーシャは南北キプロスの首都。ちなみにレフコーシャはトルコ語で、ギリシア語ではレフコシアと言うそうです。日本では英語由来のニコシアと呼ぶのが一般的。グリーンラインで分断されているものの、簡単なパスポートチェックのみで行き来できます。ただ、情勢がいつ変わるかは分からないので、実際に訪れる際には最新の情報をチェックするようにしましょう。
▲ グリーンラインの南側。
▲ グリーンラインの北側。少し雑多な感じになったでしょうか?
グリーンラインの南側では見慣れたファストフード店の看板があり、ヨーロッパの雰囲気なのに対して、北側には見慣れた看板はなく、客引きのお兄ちゃんに声をかけられまくるなど、雰囲気が大きく変わりました。ちなみに、グリーンライン周辺では北キプロスでもユーロが使えるお店がかなりありましたが、北キプロスで主に流通しているのはトルコリラなので、観光に繰り出す前に両替しておくことをオススメします。
観光スポット① セリミエ・ジャーミィ
2本の巨大なミナレットが目を引くモスク。元々はキリスト教の教会だったものが、オスマン帝国の統治時代にモスクへと転換されました。内部は白い柱と赤い絨毯が印象的。モスクに入るのは初めてでしたが、とても神聖な気持ちになりました。
▲ モスクの中って不思議と落ち着く気がします。
観光スポット② ビュユック・ハマム
ハマム(トルコ式風呂)の体験ができます。たまたまなのか、僕が行った時は他のお客さんが1人も居なくて、受付のおばちゃんもお昼寝中でした(笑)。料金を払おうとしたら、お釣りがなかったらしく、出てくるまでに用意しておくからと言われました。ひとっ風呂浴びて出て行くと、おばちゃんの予想よりも早かったのか、お釣りの用意はまだできておらず、大慌てでおばちゃんが付近のお店に聞いて回ってお釣りを用意してくれました。なんだか悪いことしちゃったかなぁ……。
内部はそれなりに広いですが、浴槽があるわけではなく、ぬるめのスチームサウナとシャワーがある程度でした。
▲ 海外の公衆浴場体験も意外とおもしろい!
少し足を伸ばしてギルネへ。
せっかく北キプロスに来たのだから、レフコーシャだけに居ては勿体ないですよね。ミニバスを利用して北キプロスの主要都市の一つ、ギルネまで行きました。
▲ ギルネは港町。海がすごくきれい!
南と揉めてるなんて信じられないぐらい穏やかな景色。
観光スポット③ ギルネ城
東ローマ帝国時代の7世紀に着工された城。現在の姿はヴェネツィア共和国がキプロスを得た後、16世紀になってから改修されたものだそうです。内部は一部が博物館になっていて、2000年以上前に沈んだ商船などが展示されています。
ただ、個人的にこのお城の最も素晴らしいと思ったところは城壁から見える景色。実はこの記事に掲載されている海の写真は全てギルネ城から撮影されたものです。
▲ 難破船。2000年以上前のものが残っているなんてすごいですね!
▲ 十字軍による拷問の様子。
▲ とにかく景色がいい! 長居しすぎて他の場所に行く時間が無くなってしまったほど。
終わりに
初めての未承認国家、初めてのイスラム教圏だったので、正直始めはかなり緊張していたのですが、特に危険を感じることは無く、楽しく旅行できました。日本では欧米視点の情報が主に報道されるので、未承認国家やイスラム教と聞くとネガティヴなイメージが先行しがちです。今回の旅行で、必ずしもそのような報道が全てではないと改めて思いました。皆さんもチャンスがあれば、是非北キプロスを訪れてみて下さい!