日が沈むにつれて街が盛り上がるバンコク。屋台やナイトマーケットが人気ですが、実はバー天国でもあります。その中でもここ数年人気が止まらないのが「ソイナナ」と呼ばれる小さな通り。数々の賞を取ったバーが軒を連ねるこの通りには、人通りが絶えません。バーホッピングにぴったりの、ソイナナにあるバーをいくつかご紹介します。
全長150mの小さなバー通り
「ソイナナ」はバンコクの中華街の北東側にある裏路地を指します。「ソイ」とはタイ語で「小道」という意味で、街中のあらゆる小道を指しますが、その名の通りソイナナは全長150mしかありません。それにもかかわらず、バンコクのバーラバーなら誰でも知っているバーがいくつも軒を連ねています。中華街の一角らしく中国風にデザインされたスタイリッシュなバーが多いのが特徴です。
ソイナナを作った先駆者的バー「El Chiringuito」
スペインに住んでいたことのあるタイ人オーナーが手掛ける「El Chiringuito」。2014年にオープンしたこのバーは、ソイナナに最初にできたバーと言われています。ソイナナの入り口からすぐのところに位置しており中華風の提灯が目印です。小さい通りながら車やトゥクトゥクがよく通るので、路上に設置されたテーブルを選べばよりタイっぽさを感じられるはず。
店内は中華街らしくどこか中国風味を感じる雑貨や古い瓶、使い古した雰囲気のあるレトロな木製の家具で装飾されています。何よりメニューなどが壁一面に書かれたチョークアートは必見。
ここで提供されるのは、トルティーヤやコロッケなどスペイン語で「タパス」と呼ばれる小皿料理。スペインでは、食事前にこのタパスと1-2杯のドリンクを楽しんでから食事に行くのが定番だそうで、まさにEl Chiringuitoも食事前の1軒目にぴったりのお店です。
中華料理とハーブのお酒が売りの「Ba Hao」
ソイナナの中でも一際目を引くのが、中国語のサインが目印の「Ba Hao（八號）」です。
ソイナナにあるお店は、ショップハウスと呼ばれる1階を店舗、2階を住居とする建物を改装して作られているものが多く、Ba Haoもその一つ。60年以上前に建てられたショップハウスを改装した店舗は、現在も3階より上はAirbnbを通じて宿泊が可能です。
中国風の花器や絵などが飾られている70年代をイメージした映画のセットのような内装は、そこにいるだけで異世界に迷い込んだような気持ちにさせてくれます。日本ではなかなかお目に掛かれないスタイルです。
Ba Haoでは、人気の中華料理をアレンジした食事や、ハーブや中国の食べ物を使った独特なカクテルが売りです。この日いただいた「Drunken Mistress」はジンベースにスターアニスやプラムなどを入れてシェイクしたもので、甘さがちょうど良く飲みやすいカクテル。なんと、カクテルグラスではなく中国の茶器で提供されました。
また「Ba Hao Tian Mi」という系列のデザートカフェも近所にあり、このバーでもデザートをいただけます。スーパーフードの一つ「ゴジベリー（クコの実）」が乗ったプリンは、口当たりが非常に滑らかで、豆乳の優しい味がお酒の後にぴったりのデザートです。
タイの伝統音楽が楽しめるバー「Tep Bar」
最後にご紹介するのが、ソイナナで一番人気の「Tep Bar」です。
150mしかないソイナナの途中にある、更に小さな小道を入ったところにあるバーで、その小道に入った途端にTep Barから独特な香りが漂ってきます。
90年以上前の建物を改装したという店内はひび割れた壁など古い建物の良さを残しつつも、シンプルな家具やタイ雑貨とのコンビネーションによって、むしろ新しさを感じる作りになっています。
店内でまず目に入るのは目新しい楽器の数々。タイの伝統的な楽器を用いた生演奏が毎日開催されています。演奏されているのはタイの伝統的な音楽だそうで、言葉がわからないながらも耳に残るリズムは聴いていて心地良いものでした。
Tep Barではタイのフルーツやハーブを使ったカクテルが有名ですが、特に有名なのが「ヤードン」と呼ばれる薬草酒を使ったカクテル。ヤードンは、タイの焼酎に数種類のハーブを漬け込んだもので「タイの養命酒」とも呼ばれています。（ただしアルコール度数はかなり高いので注意が必要です） ヤードンが使われているカクテルを頼んでようやく、小道に入った途端に漂ってきた香りの正体に気が付きました。
また、バーでありながら本格的な創作タイ料理が楽しめるのも人気の秘密です。ソムタムやパッタイなど定番のタイ料理も用意されているので観光客の方でも楽しめるはず。中には昆虫を使ったメニューもあるので、怖いもの見たさで試してみたい方はぜひ。
今回ご紹介した以外にもいくつか有名なバーが並ぶソイナナ。日本ではなかなか出会えない一味違ったバンコクの夜を過ごしたい方は、ぜひ行ってみてください。