【淡路島】国生み神話の舞台を行く~先山千光寺・岩戸神社~


兵庫県南部の瀬戸内海に浮かぶ島「淡路島」。
ここは神代の昔、国づくりの初めに生まれた島だという神話が残されているのだそうです。

その中でも淡路島の中部にある「先山(せんざん)」は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が国づくりの最初につくった山であると伝えられています。

「淡路富士」とも呼ばれることのある先山の頂上には「先山千光寺」、そして天照大神(あまてらすおおみかみ)がお隠れになった天岩戸伝説が残る「岩戸神社」があります。

今回はそんな「国生み神話ゆかりの地」である先山千光寺(せんざんせんこうじ)と岩戸神社を旅してきました。


淡路島十三仏霊場第一番「先山千光寺」


淡路島には、初七日から三十三回忌までの法要の際に本尊とされる「十三仏」を祀った霊場が開かれています。

今回旅した「先山千光寺」は、十三仏の最初にいらっしゃり、初七日のお導きをつとめる「不動明王」を祀る第一番の霊場となります。
先山の頂上にある先山千光寺までは、神戸淡路鳴門自動車道の洲本ICから車で25分ほど。山道をぐんぐんのぼって行きます。


駐車場に到着したら、その先にある石段をのぼりましょう。


石段途中にあるスペースには、「別格本山千光寺」と記された石塔が。こちらの石塔を背にして更に石段をのぼった先に「納経所」や「客殿」があります。


ふぅ~!ここまででもけっこうな段数をのぼった気が…!
先山千光寺の見どころである「舞台」や本堂のある頂上までは、まだまだ石段が続きます。 よし!のぼるぞ〜!と、石段の上を見上げてみたところ、


おやおや、なにやら可愛らしい生き物が私を案内してくれるかのように待っているではないですか。

この黒猫ちゃん、ここからずっと私のまわりをつかず離れず歩き、猫ちゃん独特の間合いで歓迎してくれました。もしかしたら仏様の使いなのかな?


先山千光寺の境内には他にも猫ちゃんたちがたくさんいて、その可愛らしい姿は石段をのぼった疲労感を癒してくれます。

さて、黒猫ちゃんと共に石段をのぼり切った場所には、先山千光寺を訪れたなら必ず見ておきたい景色が。


こちらは、淡路島の中央部にある「三原平野(みはらへいや)」を望む「舞台」と呼ばれる場所です。


そして舞台からの眺めがこのダイナミックな絶景!さすが先山の頂上にあるお寺!この雄大な景色を独り占めしていると、思わず神話の世界に浸りきり、「この国は我が作ったのだ!」と言いたくなってしまいます。


先山千光寺の本堂は舞台の更に上にあります。行ってみましょう。


石段頂上の「仁王門」をくぐり、その先にあるのが本堂です。


本堂が建立されたのは今から400年以上も昔の元和8年(1622年)。

ご本尊は「生きとし生けるもの全てを漏らすことなく救済したい」という大悲観音「千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)」です。飢えとかわきに苦しむ餓鬼道に落ちた者を救う仏である千手千眼観世音菩薩には、災難除け・病気平癒・延命・恋愛成就・安産・子宝成就・良縁などさまざまなご利益があるそうですよ。

本堂前にたどり着いたなら、ぜひ日頃の感謝を心の中でお唱えし、お参りしましょう。


本堂の周囲には「三重宝塔」をはじめ、イザナギ・イザナミの二柱御大神が祀られた祠や、鐘楼、梵鐘などの見どころが点在しています。

先山千光寺の境内を巡り、心が洗われたような感覚のまま、「岩戸神社」へ向かうことにしました。



先山頂上近くにある「岩戸神社」


岩戸神社への道は、「別格本山千光寺」の石塔があった場所まで戻り、石塔に向かって左手の石段を下って行きます。


山道を少し進んだ先に「岩戸神社について」の説明書きが。


鳥居をくぐったら更に山道を進みましょう。
岩戸神社までの道は先山千光寺の敷地内のように整備されているわけではなく、普通の山道なので、訪れる際には歩きやすい靴を履いて行くことをおすすめします。

特に雨が降った後は足元がとてもすべりそうなので気を付けてくださいね。


歩くこと数分、「天岩戸」であると伝えられている巨石が見えてきました。


こちらの巨石が岩戸神社の御神体です。8mの巨石は近づいてみると圧倒的な存在感。天照大神がお隠れになったとされる大きな割れ目も見えますね。

天照大神が隠れたとされる場所は宮崎県の「天岩戸神社」が有名ですが、ここ淡路島の岩戸神社も「ここが神話の舞台なのかも」と納得してしまうような神秘的な雰囲気が漂っています。

日本神話をあまり知らなくても、天照大神の岩戸隠れの伝説はなんとなくでも聞いたことのある方が多いのでは?先山を訪れたのを機に、日本神話の世界に触れてみるのも素敵ですね。