【スペイン】歩いて横断!キリスト教の聖地サンティアゴへ巡礼の旅


サンティアゴ・デ・コンポステーラという場所をご存知ですか?スペインのガリシア地方(北西側)にある町で、エルサレム、ローマと並んでキリスト教の三大巡礼地となっている場所です。今回はフランスからサンティアゴに歩いて向かう巡礼の旅をご紹介します。





キリスト教の聖地サンティアゴ

巡礼者が目指す目的地であるサンティアゴには、キリスト12使徒(キリストの弟子たち)の一人・聖ヤコブを祀るサンティアゴ大聖堂があります。


その昔、スペインのガリシア地方で布教活動をしていた聖ヤコブ。イスラエルで殉教したのちにスペインで埋葬されましたが、その存在は知られずに長い月日が過ぎていきます。ある日、羊使いが空にひときわ輝く星を見つけ、その星について行くとそこには忘れられていた聖ヤコブのお墓がありました…ということから、この地が聖地となったと言われています。その後、サンティアゴ目指してヨーロッパ中のキリスト教信者が訪れるようになり、今日の巡礼に至ります。サンティアゴは「聖ヤコブ(Saint- Jacques)」、コンポステーラは「星の野原」を意味しています





フランス人の道

ヨーロッパ中の人たちがサンティアゴに向かったため、巡礼路は各国からたくさん伸びています。中でも有名なのがフランスにあるサン=ジャン・ピエ・ド・ポーという小さな村から伸びる「フランス人の道」です。


フランス人の道の総距離は約800km、日数にすると1ヶ月超ほどかかります。1ヶ月も時間が取れないという人は、サンティアゴ100km手前の町・サリアから歩くのが主流となっており、5〜7泊ほどでサンティアゴに到着します。
他にもスペインの北側を通る「北の道」、ポルトガルの首都・リスボンから伸びる「ポルトガル人の道」など何本もの巡礼路があります。

巡礼路にはホタテ貝のマークがついた道標があります。

ホタテ貝は聖ヤコブのモチーフであり、これを目印にサンティアゴを目指します。また貝を身につけることで、巡礼者であるというシンボルになります。





巡礼の日々

巡礼中は、自分が決めた目的地まで歩き、洗濯、シャワー、夜ご飯を済ませ明日へ備える、というのが大きな毎日の流れです。その中で街を観光したり、翌日のプランを立てたりします。一日歩く距離数やどの村まで行くかなど、全て自分次第。宿泊はアルベルゲと呼ばれる巡礼宿(ドミトリー様式)に泊まる人が多いです。フランス人の道では町にホテルがあるところも多く、ドミトリーが心配な人にも安心です。

アルベルゲでの自由な時間には共に歩く仲間たちと談笑したり、一緒にご飯を作ったり。それぞれの時間を楽しみます。


私はスペインの名物でもあるバルに入ってスパニッシュオムレツを食べたり、スイーツ巡りをしたりしました。





巡礼で見たもの

サン=ジャン・ピエ・ド・ポーから始めると、初日はフランスとスペインにまたがるピレネー山脈を越えて行くルートを通ります。


山道を歩くだけでも大変ですが、背中には自分の荷物もあり、ヘトヘトになりながら次の町を目指しました。歩いた時間はなんと11時間。フランス人の道で一番しんどいのは間違い無くこの初日ですが、眼下に広がるフランスの大地と、それを見ながら食べるお昼ご飯はとっても贅沢で最高ですよ!


途中で出てくる大きな街・ログローニョを越えたあたりから、一面に小麦畑が広がる道を進みます。

次の町まで伸びる一本道。フランス人の道を象徴する景色です。
こんな素敵な大地をバスや電車で通るのではなく、一歩一歩自分の足で歩いていくのは、旅の中でもあまり経験できないことです。激しいアップダウンをした後に小麦畑に出たときは、「今日はいよいよたどり着かないかも!」と思ったこともありました(笑)


のどかな田舎の町を進むと、動物にもたくさん出会います。


教会に行ってブレッシング(巡礼者のミサ)に参加したり、道中の小さな教会で休憩させてもらったり、私たち日本人には少しだけ遠い宗教というものがどういうものかという勉強にもなりました。


巡礼の日々は確かに過酷な一面もありますが、普通ならできない歩き旅をしてみるといろんな発見がいっぱいです。
私は「サンティアゴに着くまでにどんな日々が待っているのだろう。サンティアゴに着いたらどんな自分になっているのだろう」と思いながら歩いていました。そのとき思い描いていたのは一人でのゴールでしたが、実際は旅の途中でできた仲間たちと一緒でした。「自分一人で考えていても仕方ないのかも!」と、気持ちが軽くなったことを覚えています。





宗教や人種に関係なく、万人に開かれた道である巡礼路。絶景、美味しいご飯、そして支え合う仲間たち…たくさんの出会いがあって、素晴らしい旅ができました。いつもとは少し違う挑戦の旅で、素晴らしい日々を是非過ごしてください!ブエンカミーノ!(良い巡礼を!)