「キプロス島」へ行ってみたら、そこはネコの楽園だった! 10の見どころをご紹介


美と豊穣の女神アフロディーテ(ヴィーナス)が誕生したという伝説が残る地中海の東端に浮かぶキプロス島。四国の半分ほどの大きさという小さな島には、新石器/ギリシャ/ローマ時代の遺跡やレオナルド・ダ・ヴィンチゆかりの村など、興味深い歴史ロマンが溢れています。また、NHK BSプレミアムの人気シリーズ『岩合光昭の世界ネコ歩き』(2018年7月放送)の舞台となり『ネコの楽園』としても知名度が上がってきています。


「キプロスと聞いてもピンとこない」と言う方に、可愛いネコたちと共にキプロスの見どころ10選をご紹介いたします。




1. 分断された首都ニコシア

キプロス島はギリシャ系の南キプロスとトルコ系の北キプロスに未だ分断されたまま。両国(北キプロスはトルコのみが承認している)はグリーンラインという全長300kmに及ぶ緩衝地帯によって仕切られており、クロスポイント(国境検問所)でパスポートチェックをしなければ行き来ができません。

▲ クロスポイント前のオブジェで眠るネコ


ニコシアは南北キプロスの首都。同じ街が2か国で“首都”とされる世界で唯一の例なのです。

▲ 街のど真ん中にドラム缶バリケード


クロスポイント付近には銃を持った兵なんかもいて物々しい雰囲気ですが、現在は武力衝突などはなく平和な日常が保たれています。






2. 北キプロス

パスポートチェックを受けて北キプロスへ徒歩入国。いきなりトルコっぽい雰囲気になるのかなと思いきや、さほど変化は感じられませんでした。


キプロス島で最大だった聖ソフィア大聖堂をモスクに改装した「セリミエ・ジャーミイ」。掲げられている国旗は左(赤)がトルコで、右(白)が北キプロス・トルコ共和国のもの。


「北も南も関係にゃい!」と背中で語っているようなネコに思わずほっこり。






3. ケープグレコ国立公園

ヨーロッパ圏で人気のリゾート地アヤ・ナパにある国立公園。波に削られて出来た洞窟のような岩やアーチ型の岩などがある海岸線は地中海ブルーを堪能できる絶景スポット!


絶景をバックに、水場が特等席と居座るネコにも出会えました。






4. ハラ・スルタン・テケ

南キプロスの玄関口、ラルナカ国際空港近くにあるイスラム教寺院。ラルナカ塩湖に面しており、冬にはフラミンゴが飛来するそうです。


預言者ムハンマドの乳母ウム・ハラムがこの地で亡くなり、7世紀に霊廟が建てられ、現在の建物は18世紀のもの。イスラム教徒にとって重要な巡礼地。そしてネコたちの住処ともなっているようで、沢山のネコを見掛けました。






5. レフカラ村

JATA(日本旅行業協会)が選出する「ヨーロッパの美しい村30選」に選ばれたレフカラ村。この村には溢れんばかりの“可愛い小径”があちこちに!


村の美しさもさることながら、親から子へ500年以上も受け継がれてきたレフカラレースは村の特産品で、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。


1481年にここを訪れたレオナルド・ダ・ヴィンチが美しいレフカラレースに感動し、ミラノの大祭壇に飾るためにレースを持ち帰ったという言い伝えがあり、かの有名な絵画「最後の晩餐」のテーブルクロスはレフカラ模様なんだとか。これがさらにレフカラレースの名を世界に広めているようです。


レフカラは『岩合光昭の世界ネコ歩き』でも撮影された場所。


ワクワクする“可愛い小径”そして“レフカラのネコ”にすっかり心が奪われました!




6. ヒロキティア遺跡

人類が文字を使用する前の先史時代、今から約9000年前の遺跡が1934年に発見されました。農耕民族の集落跡で、円柱家屋や村を囲う塀などの遺構が残っています。

▲ 再現された村への入り口と家屋


動物の骨、農耕道具、家の中に埋葬されていた人骨などが発掘されました。まだまだ調査は継続中。これから9000年前の生活を紐解く新しい発見があるかもしれません。

▲ 斜面に広がる集落跡


キプロス島南部にあるシルロカンボス遺跡からはおよそ9500年前の、人間と共に埋葬されたネコ科動物の遺骨が発見され、ネコがペットとして飼育されていた最古の例(諸説あります)と判断されています。人間とネコとの繋がり、その歴史に思いを馳せるには最適の島かもしれません。






7. クリオン古代遺跡

この遺跡の起源は後期青銅器時代までさかのぼり、紀元前14世紀頃、ペロポネソス半島からやって来たアカイヤ人の植民地として発展した場所です。以後、紀元前4世紀のギリシャ時代から1~4世紀のローマ時代、7世紀中頃までの初期キリスト教時代の遺跡群が地中海に面した小高い丘に広がっています。

▲ 元は紀元前2世紀に建てられた円形劇場


ゲートから入ってすぐにあるのは屋根で保護されている「エウストリオスの家」。クリオンでは比較的新しい4~7世紀の公衆浴場跡。


いくつかのモザイクが残っていますが、最も保存状態が良いのは「キティシス像」。右手に持っているのが計量器具でこれがローマ時代の1フィートの物差しだとされています。






8. ペトラトゥロミウの海岸

ここが美と豊穣の女神アフロディーテ(ヴィーナス)が誕生したという伝説が残る海岸です。引き込まれそうなブルーに、美しさに、言葉を失います。


海岸に落ちているハート型の石はパワーストーンとされ、その効果は『見つければ幸せになれる』とか『持ち帰るとアフロディーテの美しさを分け与えてもらえる』とか『未婚の人は結婚できる』とか云われています。

▲ 少々いびつですが・・・

アフロディーテパワーのおこぼれはいただけるのでしょうか?「効果があった!」という声も聞いたので邪念は捨てて信じるとしましょう。




9. パフォス

パフォスは古代ギリシャやローマ時代にはキプロスの首都でした。町全体が世界遺産に登録されています。パフォス考古学公園には古代からビザンチン時代にいたる遺跡が点在しています。


中でも必見なのが2世紀から4世紀頃の貴族の邸宅跡に残された多くのモザイク画。ギリシャ神話にまつわるものや当時の生活の様子が描かれています。

▲ ディオニソスの館「四季の像」

▲ テセウスの館「クレタ島の地下迷宮を舞台にしたテセウスとミノタウロスの伝説」


テセウスの館は100以上部屋があったと云われている大豪邸跡。ディオニソスの館は屋根で保護されているのに対しテセウスの館は屋外、なのにあれだけ色鮮やかなモザイク画が残っているのに驚きました。




10. カコペトゥリア村

北西部の山岳地帯トロードスにはオスマントルコ時代の隠れキリシタンが連帯し信仰を守り抜いた教会群が点在しています。そのうち10のビザンチン教会は世界遺産に登録されています。

▲ 聖ニコラオス教会


聖ニコラオス教会の麓にあるのがカコペトゥリア村。渓谷の斜面に沿って茶色の屋根が連なる素朴な佇まいの集落。


6世紀頃から人々が住みついているといわれる歴史あるカコペトゥリア村。


石畳に石造りの家、どこを歩いてもどこに目を向けても素敵で、童話の世界に迷い込んだような気分になります。


あまり人通りはなく、とても静かで時が止まったようでした。素敵な村には可愛いネコがセットのようで、ここでも多くのネコがのんびり過ごしていました。





キプロスは1年のうち300日以上が晴天に恵まれるという太陽の島。地中海の島=リゾートという印象が強く、事実、アヤ・ナパやパフォスにはリゾートホテルが建ち並び多くの人がバカンスに訪れます。しかし実際足を運んでみてそれだけではない魅力があるということに気付きました。
ネコ旅、歴史探究、リゾートステイ、幅広いテーマで楽しめるキプロス島でした。