【ルーマニア】ブカレスト&トランシルヴァニア地方のおすすめスポット10選
ドラキュラのモデルになったヴラド・ツェペシュや城塞教会群で知られるルーマニア。
1989年のチャウシェスク独裁政権崩壊以後、民主化したものの、比較的貧しいイメージがあり、どこか暗い印象や治安の心配がありましたが、現在のルーマニアはどうなっているのだろうと思い、2017年5月に行ってきました!
この記事では首都のブカレストとルーマニア観光最大の見どころであるトランシルヴァニア地方の必見スポットについて紹介します。
●ブカレスト●
人口200万人を超える最大都市、首都ブカレスト。「東欧の小パリ」と称されており、パリのようなおしゃれな街並みや凱旋門、旧共産圏によくあるエキセントリックなデザインの建物、伝統的な古い町並みが残る旧市街の3つの異なる文化が共存している大都会です。
パリにある凱旋門と比べるとかなり小さいですが、以前執筆したモルドバにある凱旋門よりはかなり大きく、本格的でした。周辺は公園や各国の大使館があるエリアになっています。
1:議事堂宮殿(国民の館)
アメリカのペンタゴンに次ぐ、世界で2番目に巨大な建物で、その一部は現在のルーマニア国会や首脳会談などに使われています。内部はガイドツアーでのみ見学可能でシーズンや時間によってはかなり混んでいるので、早めに入場券を買った方が良いと思います。
内部は豪華絢爛な装飾ばかりで贅沢の限りを尽くした建物です。国民の館という名称は名ばかりで、国民が深刻な貧困状態にあったにもかかわらず、巨額の富を使ってチャウシェスク元大統領が建設したと言われています。ちなみに内部ではフリーWi-Fiが利用できます。
2:クルテア・ヴェケ教会と旧王宮跡
1559年に建てられた、ブカレストで最も古い教会です。旧市街地区のほぼ中心にあり、内部も自由に見学可能です。中の装飾やデザインは西欧のものとは違い、壮大なフレスコ画が立派でした!
旧王宮跡は同じ敷地内にあり、ドラキュラのモデルとして知られるヴラド・ツェペシュの胸像もそばにあります。周辺にはお土産屋やカフェがたくさんあったので、見学後に教会周辺で一休みするのも良いかもしれませんね。
また、下の写真にあるように、ブカレスト市内にはルーマニア正教会の可愛いデザインの教会が多く残っています。
これは革命広場の南側にある、クレツレスク教会です。ホテルやレストランなどが集まっている中にポツンと建っています。このクレツレスク教会以外にも小さく、西欧のものとは違った雰囲気の教会がたくさんあるので、街歩きをしながら教会巡りをするのも楽しいです。
3:アレーナ・ナツィオナラ(National Arena)
収容人数55,600人をほこるルーマニア最大のサッカースタジアム。ルーマニア代表の国際試合や国内リーグ戦などで使用されます。僕が行ったときには、国内リーグのステアウア・ブカレスト vs クラヨバの試合をやっていたので観戦してきました!
チケットはスタジアム周辺にダフ屋もいますが、普通にチケット売り場から購入でき、お値段はなんと日本円で約600円でした!試合開始前後のスタジアム周辺は多少物々しい雰囲気があるので、1人で観戦するのは避けたほうが良いかもしれません。
●トランシルヴァニア地方●
ルーマニア中部にあるトランシルヴァニア地方はカルパチア山脈に囲まれており、雄大な自然の中にたくさんの美しい城や要塞があります。ルーマニアを訪れたなら、必ず行くべき観光スポットの宝庫です。
4:シナイア
「カルパチアの真珠」と呼ばれており、ブカレストから電車に乗って1時間半くらいで行くことができます。スキー場と山頂へつながるロープウェイもあり、冬はスキー客でにぎわうそうです。そんなシナイアで絶対に外せないスポットはなんといってもペレシュ城とシナイア僧院です!
シナイアは標高800メートルの高いところにあるため、天気はかなり変わりやすく、1日の寒暖差が激しい印象でした。4月でも雪が積もる年があるそうです。
ペレシュ城
ルーマニア王室の夏の離宮として建てられ、ルネサンス、バロック、ロココ様式を融合させた夢の国にありそうなおしゃれなお城です!内部は美術品や武器などが展示されています。
校外学習で訪れていた小中学生の団体客も多く、シーズンによってはかなり混むので朝早く来たほうが良いです。そばにあるペリショール城も同じくらい美しいので一緒に回るのが定番コースになっています。
シナイア僧院
敷地内には2つの教会があり、その両方とも見学可能です。内部には「最後の審判」を描いたフレスコ画があり、キリスト教の教えを布教するためのものだとされています。
最初の写真にある教会よりも一回り小さい古い教会。門を通って左側にあります。教会にしてはかなり小さいですが、内部はよりいっそう味があります。
5:ブラショフ
ブラショフはルーマニア第2の規模を誇り、トランシルヴァニア地方の中心都市でこの街を起点に後で紹介するブラン城、ルシュノフ要塞、カンタクジノ城を巡ることができます。ルーマニア文化だけではなく、ハンガリー人やドイツ人入植者の影響を受けた、独特の街並みが多く残っています。
旧市街後方に移っているのがトゥンパ山。ケーブルカーで山頂まで行くことができます。小さくて見えづらいと思いますが、山頂付近にはHollywoodを模したBRASOVの文字が!こういうパロディー的な観光地の見せ方は嫌いじゃないです(笑)
左側の時計台がある建物は中心部にあるスファトゥルイ広場にある歴史博物館。ブラショフはドイツ語の名前があり、クローンシュタットともいいます。12世紀に入植したドイツ人たちによって築かれた街なので、旧市街はどこかドイツ的な雰囲気が漂っています。
ブラショフで一番有名なのがこの黒の教会です。1枚目の写真右側に写っているひときわ大きい建物が黒の教会を上から撮ったものです。今まで紹介したルーマニアの教会と違ってどっしりとした重厚感がありますね。
6:ブラン城
ルーマニアに来た観光客の一番のお目当てはやはりブラン城なのではないでしょうか?15世紀に実在したワラキア公ヴラド・ツェペシュにゆかりがある城で、ドラキュラの城として多くの観光客を魅了しています。ブラショフ市内からは30キロほど離れており、バスでアクセスすることができます。
崖の上にそびえ立つ石造りの堅牢なブラン城。僕が行ったときは晴れのち曇りだったのですが、この城に限ってはどんより曇った日に行った方が邪悪な雰囲気が強調されていいかもしれません。
城周辺には屋台やお土産屋が並んでおり、内部はゲームに出てきそうな悪い王様の城のような感じでなかなかテンションが上がりました(笑)
7:ルシュノフ要塞
ブラショフ市内とブラン城のちょうど中間くらいにあるので、同日中にバスを乗り継いで一緒に回ることができます。僕の場合は宿泊していたユースホステルの知り合いの方がやっていた個人ツアーがブラン城と次に紹介するカンタクジノ城もセットで回ってくれるとのことだったので、そのツアーを利用しました。
トリップアドバイザーに掲載されているそのツアーのURLを張っておくので楽に回りたい方にはお勧めです。3か所周遊する1日のツアーでお値段はなんと¥1,700程度でした!
ツアー:HubtoTransylvania(TripAdvisor)
頂上へは徒歩でも上がれますが、ケーブルカーか観光用に改造した車でも登れます。13世紀に異民族の侵入を防ぐためにドイツ人入植者によって建てられたそうです。要塞内は小さな町のようになっており、お土産屋や武器屋がありました。
ジャンルは若干違いますが、個人的には観光客でごった返しているブラン城よりものんびりと見ることができたのでルシュノフ要塞の方が満足度は高かったです。要塞から見下ろす平原の景色は圧巻です。
8:カンタクジノ城
シナイアからブラショフに向かって10キロほど行った、ブシュテニという街にあります。壮大なカルパチア山脈の岩肌に向かっており、周囲は緑豊かな公園になっています。ブシュテニには本数は少ないものの、電車も通っているのでブラショフやシナイアからアクセスしやすいと思います。
完成したのは1911年のことで比較的新しい建物で一見、城というよりは新しいおしゃれなホテルのような外見をしています。敷地内にはレストランもあり、校外学習で来ている子供たちが庭園で走り回っていました。
9:シギショアラ
「シギショアラ歴史地区」として世界遺産に登録されており、中世の街並みを色濃く残した街です。ヴラド・ツェペシュの生家があることで知られ、現在はレストランになっています。旧市街はデアル・チェタツィーという丘の上にあり、城壁で囲まれています。
街のランドマーク的な存在がこの時計塔。なにかの建物に入場するというよりかは旧市街の中をぶらぶらと歩きまわるのが楽しい街です。この日は天気も良くて最高の観光日和でした!
旧市街にある展望台から見下ろした新市街方面。城壁の門を通って坂道を下ったところにはレストランが集中するエリアがあり、市民や観光客で夜遅くまでにぎわっていました。市内を見て回るのに丸1日もかからない小さな街ですが、夜はライトアップされて夜景も綺麗なので日帰りではなく、1日ステイすることをおすすめします!
10:シビウ
ドイツ人入植者の政治的中心地になった街であり、16世紀の最盛期には商業都市として栄えていました。この記事で紹介したほかの都市と比べて特筆すべき観光地というわけではないですが、ヨーロッパ各地へのLCCが飛んでいる空港があるためフライトの時間まで散策しました。シギショアラから電車でアクセスできます。
写真にあるピアッツァ・マーレという大広場周辺に見どころの博物館や教会、レストランがかたまっており、ルーマニア最初の鉄の橋である「うそつき橋」もすぐそばにあります。冬になるとこの広場ではクリスマスマーケットが開かれるそうです。
●注意点&まとめ●
2012年に日本人女子大生が殺害された事件が起こったように、首都ブカレスト近郊での夜間の一人歩きはかなりリスクが高いと思います。特にブカレスト北駅周辺はスリや強盗、ぼったくりの被害が多いことで有名なので移動の際は十分に注意しましょう。
また、僕がブカレストに滞在した2日間では1匹しか見かけませんでしたが、年間1万人以上とも言われる人たちが野良犬の被害にあっています。ここ数年で幾分かは改善されたのかもしれませんが、夜中に野良犬同士で争う声が聞こえたので、暗い路地裏や草むらなどには絶対に近づかないようにしましょう。
首都のブカレストでは注意すべきことが非常に多いものの、中部のトランシルヴァニア地方の治安は非常に安定しており、人も温かく親切です。滞在日程に余裕がない場合は、ブカレストよりもトランシルヴァニア地方観光を優先させることをお勧めします。