【スリランカ】栄華と悲劇が交差するシーギリヤ遺跡
北海道よりやや小さい国土のスリランカはビーチリゾート、サファリ、仏教遺跡など、多種多様な見所がぎゅぎゅっと詰まっている魅力溢れる島国です。その中でも注目度、人気度No1の遺跡がシーギリヤロック。巨大な岩の造形、そこに築かれた要塞、謎の美女、歴史的背景、全てが興味深く惹かれる要素満載です!
古都シーギリヤ
ジャングルに突如現る台形状の巨大な岩。これはマグマが硬化してできた一枚岩。自然が作り出した垂直に立つ岩山の造形にただただ圧倒!この断崖の上に王宮が築かれたことから『天空の要塞都市』ともいわれています。
シーギリヤロックにばかり注目してしまいますが、この地はかつて人々が暮らしていた都。その都市機能の痕跡を岩山の麓にある貯水池や区画された街跡に見ることが出来ます。
シーギリヤへ遷都した背景
シーギリヤロックを知る上で忘れてはならない哀しい歴史の物語。
平民出身の母を持つカッサパ王は王座を守るために父を殺し、王族出身の母を持つ弟モッガラーナからの報復を恐れ長らく首都であったアヌラーダプラからシーギリヤへと遷都。さらに断崖の上に安らぎの地とするべく王宮を建築。そこでの暮らしはわずか11年。弟モッガラーナに攻め込まれカッサパ王は自害、シーギリヤの栄華は幕を閉じました。
巨大岩を利用した通路などもあり、外敵から恐れていた様子がうかがえます。
妖艶なシーギリヤ・レディ
シーギリヤロック見所の1つ目は岩山の中腹に描かれた女性達のフレスコ画。岩肌に沿って鉄の階段が設置されており、下記写真赤枠の所まで進みます。高所恐怖症なので行くまでがスリリングでした!
冷や汗掻きつつ辿りついた岩肌の窪みにはなんとも色鮮やかで美しい女性像が。1500年ほど前に描かれたとは思えないほど色彩が豊かで驚きました。
以前は500人ほどの女性が描かれていたそうですが、風化が進み現在は18体だけが残っています。王宮の女性達を描いたとも、妖精の姿であるともいわれます。また、自らが殺してしまった父への弔いのためとも。
優しくもあり、淋しげでもある、妖艶な笑顔。これは男でなくても虜になってしまう、目を奪われる美しさです。
2016年から撮影が禁止になったそうです。まだ撮影OKの時期に訪れました。これだけ美しく鮮明な画が撮れないなんて・・・。ルール違反(フラッシュ禁止)が積み重なれば後に続く旅行者が悲しい思いをする訳です。ルールを守って鑑賞することが大切です。
ライオンゲート
2つ目の見所、王宮への道に築かれたライオンゲート。
この大きな足!現在は前足の部分しか残っていませんが、元々は巨大なライオンの顔が置かれていたともいわれています。ライオンの口の中に入るように階段が設けられていたならば、それも一つの防御策だったのではないでしょうか。ここから鉄製の急な階段を登るといよいよ頂上です。足元スースー、おまけに蜂の巣もあり、シーギリヤ・レディへの道以上に恐怖でした!
360度の絶景
無心になって地上200Mの頂上まで登りました。この頂上全体に築かれた王宮、そして360度遮るものがない絶景が3つ目の見所です。
王宮、貯水池、庭園まで造られ、わずかな栄華を過ごした場所。今では基礎部分しか残っていない王宮跡が儚い歴史を物語っています。
シーギリヤ・レディ達と暮らしていた11年間。どんな思いで過ごしていたのか。心休まる時はあったのだろうか。眺めがよすぎる高所から何を思って下界を眺めていたのか。
権力に囚われた哀しい歴史の舞台となったシーギリヤロック。
岩の頂に立って1500年前の風を感じに訪れてみてはいかがでしょうか。