【岡山〜香川】瀬戸内海に浮かぶ直島で自然と現代アートに触れる旅(後編)〜現代アートとはなんぞや?!〜


さて!直島の現代アートに触れる旅、後編の始まりです。

今日の空も、瀬戸内の海もまぶしい!!


厳しい日差しの中、アートを求めて一杯歩いてきました。

前編で紹介した家プロジェクト「家プロジェクト南寺」エリアから、2日目の観光がスタートです。


家プロジェクト「南寺」


「家プロジェクト」では、古い空き家を改修してアーティストが空間そのものを作品化しています。

メインの「南寺」を含めて全部で7箇所の施設を探しながら島人の生活空間に入り込み、街並みを散策していると偶然色んなアートに出会える、そんな趣向ですね。

▲▼ 街で出会えるアート作品


ところで、メイン施設の「南寺」は現在も「寺」があるわけではなく、かつて寺があったことから名付けられたそうです。

直島に住む友だちは知りませんでした(笑)

南寺の設計は安藤忠雄氏。近くにANDO MUSEUMもありました。
2025年にはまた新しい美術館もオープンするとか!

家プロジェクト「南寺」を鑑賞するには、まず「本村ラウンジ&アーカイブ」でチケットを購入します。その時に、南寺の集合時間を告げられます。

南寺では、建物の中で約15分の非日常体験ができますよ。

集合時間まで40分ほど余裕があったので、私は、南寺以外のスポットを見て回りました。

さて!肝心の南寺の非日常体験の感想は…

実は…よく分からない…

というのが正直な所で、この「分からなさ」が現代アートなの!!と…友だちと感想を言い合っていました。

訳のわからないものについて、行ったことある人とわいわい感想を言い合うのも現代アートの面白さなのかなとも思います。


ANDO MUSEUM


南寺での非日常体験の後、ANDO MUSEUMに行ってみました。

▲ 木造とコンクリート。そして光と闇との融合の世界。スリットから差し込む光が陰影を生み出しています。


この無機質な感じも現代アートの一つの特徴なのかな、と。ある種の気づきを得たような得てないような…。

南寺以外の施設は、さりげなく点在しています。あちこち歩き回る過程で、偶発的アート体験が出来るのもこの企画の面白さだと思います。

そう!出会うもの全てをからだ全体で感じ、心の扉を開いておけば、万物はアートになる?

▲ 目に飛び込んできた街の片隅のアート


もう目に入るものを己の心の感じるままに、「アート」と言っていいのかな?とか思いながら、街を徘徊する友と我。

もしかして「アート」って言ったもん勝ち…?アートは己の心が決める?万物はアートになり得る?などと迷走しながら施設を巡っていました。

行った場所はスタンプが押してもらえます。


家プロジェクト「護王神社」


江戸時代から続く神社が、杉本博司の設計により再建されました。

このガラス階段が見どころです。
パンフレットによると、「古代より続く日本人の心性が、杉本独自の解釈を交え表現」されているのだとか…。

そんなこと、この時は知る由もありませんでした。


さて、こちらは護王神社から見下ろす風景。涼やかな気持ちにさせてくれます。

この瀬戸内の風景は、既に唯一無二のアートと言えるでしょう。


家プロジェクト「碁会所」


建物内の椿と庭の椿の対比を楽しむのだとか。後からパンフで読んで知ったのでした。

庭に椿あったんや!!しまった!気がつかなかった…!


家プロジェクト「角屋」


築年数200年の家屋を改修して作られた空間。
屋内にあるプールの中で、数字がピカピカ光っています。

ピカピカ光る英語やら数字って何か現代アートでよく見るような…とか趣のないことを考えつつ、水の中でピカピカ光る125のデジタルカウンターを見ていました。


家プロジェクト「はいしゃ」


かつて歯科医院兼住居だった建物を大竹伸朗氏が作品化したものです。

壁や床にペインティングやコラージュが施され、「夢の記憶」を辿るプロセスを形にしようとしているのだか。

う〜ん、難しいです。

特に印象深かったのは、2階に上がって不意に目に飛び込んできた


おおっ!これも夢の記憶??


ランチタイム


一通り見終わった後は、一旦、ランチタイムです。

直島には、お洒落な食事処やカフェが各エリアごとに豊富にあります。
昼間の食事処はあまり苦労せず見つけられると思います。

一覧がマップになっていますので、軽く下調べするといいでしょう。

詳しくは、直島観光旅サイトをご覧ください。


直島ごはん ゑびすかも


お昼ご飯は「直島ごはん ゑびすかも」でマグロの漬け丼をいただきました。

ランチメニューはこれ以外にもう一種類「からあげ定食」がありました。
どちらもジャスト1,000円。
小盛りで女性でも完食できるサイズ感です。

そして、昨晩食べた煮付けと違って塩辛くない!(笑)上品な味付けで美味しかったです。


午前中を振り返って


午前中、結構な数のアートに触れ、現代アートの短期集中講座を受けているような心持ちでした。

でもまだこの時点で、肝心の現代アートが何かは未だ謎のままです…。

「無機質な何か」、「ピカピカ光数字やアルファベット」、「敷き詰められた砂利」、「石」、「球体」、「流れる水」、「ブリコラージュ」…。

友だちと一緒に、今回直島の施設鑑賞や街歩きで目に触れたものを類型化してみたら、こんな単語が浮かびました。


後半


さて、後半戦!
今度はベネッセハウスミュージアム周辺のアート作品を見に行きます。

直島にある数々の美術館の中でも一番に訪れる人が多いという「地中美術館」にも行ってきました。

なんと言っても友が島民なので施設は全て無料です!(通常、地中美術館はネットの事前予約が必要であらかじめ入館時間を決めておかないといけません。)

もしかして、ここまで、無料だから、そこまで有り難みなくアート鑑賞をしてしまっていたのだろうか?

いやいや!断じてそんなことはない…はず!

ベネッセハウスや地中美術館では、何やら勉強熱心に係の方に質問している女性とか、真剣に何かメモしているお兄さんもいらっしゃいました。

え?作品を理解できていないのは私たちだけ?とか友だちと言い合っていました。

よくわからないアートを鑑賞する時って、一人より誰かと一緒に行ったほうがいいと思います。「そばに、何これ?わけわかんないね〜。」と言ってくれる相手がいて、わけわからなさについて語り合うことも実は現代アートの醍醐味なのかもしれません。

そして、その感覚を共有しあうことが楽しいんだと思います。

心に刺さるアートに触れ、己の意識の中で、何かがうごめいてる、はず…です。
というより、この日、まだ一番心に刺さるアートに出会っていなかったのです。


地中美術館:モネの世界観が再現された「地中の庭」


ベネッセハウスに向かう途中に見ることができる、季節ごとに違った草花を楽しめる空間です。

友だち曰く、定期的に草花も総入れ替えするんだそうです。
そうやって人の手を加えてるからこそ整った美しさが作り出せるのですね。「ありのままの自然」というより、造形美の世界です。

今年は睡蓮が少なめなんだとか。


ベネッセハウス ミュージアム


後半戦、最初に行ったのはベネッセミュージアムです。
ホテルと美術館が併設された空間は、みんなが一度泊まってみたい憧れの場所です。

▲▼ 「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム」柳幸典


前は撮影禁止だったそうですが、今は国旗の前で写真を撮ることが出来ます。
よく見ると、プラスチックの中に国旗の柄に着色された砂が入っているんですね。
これも後で知りました。

やっぱり、美術作品を見る前に事前の予習は必要なのか…?
予習してから行く方が作品にまつわるストーリーも味わえるので、より深くその造形物を鑑賞できるには違いないですね。

そしてこの近くに、撮影禁止のウルトラマンアートがあって、インパクト大でした。


李禹煥美術館


ベネッセハウスから地中美術館までは徒歩約20分。
その間に李禹煥美術館とヴァレーギャラリーがあります。無料バスも行き来しています。

季節が良ければ瀬戸内の景色を見ながらお散歩するのもいいですね。

真夏だと徒歩は気合が必要です。二つの施設から徒歩3分くらいの所に自動販売機があるのも覚えておくといいと思います。

直島でアートの鑑賞は2日あると余裕を持って回れると思います。
ベネッセエリアをじっくり見るだけでも半日はかかります。

この日、1日かけてお腹いっぱいアート鑑賞をした中で、最後に訪れた施設で私の琴線に触れたアートはこれです。

▲ 謎の石・正面


「何これ?」

李禹煥美術館の庭に展示されているアートです。

石と棒の関係性とか、棒はどうして曲がってるの?とか考え出すとキリがありません(笑)

本当に意味不明なのか、そこに深遠な世界が存在するのか?正解がないのがいい所なのか…。

まだうまくこの思いを言語化することが出来ません。

でも、次また現代アートに触れた時、さらにここからアートへの想いが深まるきっかけになればいいなと思い、まとまりのない思いを言葉にしておこうと思います。

現代アートは色々なものを削ぎ落とした結果の美で、美と同時に抽象化の成れの果て、もしかして言ったもん勝ちなのかもしれません。

見る人によってはこのオブジェ、「鬼滅の刃」を彷彿とさせます。

▲ 謎の石・横


私の尊敬する数学者が、「綾部焼きの形の歪みも正体はよく分からないけど、何か心地よさがある、現代アートも同じように全体を感覚で感じ取ることが大事なのかと思う」と教えてくれました。

私もそんな気持ちで周辺のオブジェに触れてみました。

▲ 石の近くにあったアーチ


アートって、その場の風景と溶け込んで、見る時間によって、季節によって、そして「自分の心のありよう」によって見え方が変わります。

そして正体不明のオブジェであればあるほど、解釈の自由度が高いから、そこに偶然性が加わる時、一期一会のアートが完成する瞬間が訪れます。

それを体現したのがこれなのかな、と思いました!


この施設内の広場にある、空に聳える謎の鉄塔を眺めていた時、空を見上げたら、飛行機雲が見えました。

飛行機雲と鉄塔が一体化して、私の心の中には飛行機に乗って遠くに旅立つ自分の姿が重なりました。その時、自分の心の風景と目の前の風景が一体化したのです。

偶然性のもとで、好きに借景し、自分自身で作品を完成させる、この日の友との楽しい思い出と共に、暑い夏の記憶と共に、それが唯一無二のアートとなる。

私だけのアートが完成した瞬間です(笑)


パンクズのようなものをあちこちに落としておいて、あとは見る側に委ねる、なんていうのもアート以外の領域にも通じる「学び」なのかも知れません。

直島の現代アートの短期集中講座で、よくわからないものに触れ、よくわからないまま考え、最後の最後に頭に浮かんだ事なのでした。

夕方の海辺


ありがとう、直島!!
今度は季節を変えて再訪して、違う景色を感じてみたいです。

きっとまた別の見え方で私を迎えてくれるはずだから。

▲ 施設巡りの後、夕方の海辺の風景。夕凪の風、潮風の香りとやさしい波音、柔らかい黄昏時の光…。
瀬戸内の海を見ながら語らうと何であんなに特別感が出るんでしょうね?最高の演出を醸し出してくれる風景です。


そして、2日間暑い中付き合ってくれた親友に感謝!

3年ぶりの再会は、穏やかで懐かしくて、色々な思い出を語る中で、また新しい関係性を築いていけそうな予感がしました。
もう一回見ようね!島民枠最強だよ!(笑)


そして、岡山のお土産といえば


岡山の定番のお土産、吉備団子は新幹線乗り場のお土産物屋さんに色々なメーカーのものが売られています。

味はプレーン以外にも、桃味、きなこ味、中にミルク入りなどあったり、メーカーごとに吉備団子の食感が違ったりと、食べ比べも楽しいと思います。

何と言っても吉備団子はコスパが良いお土産!
20個入りで1,000円くらいで買えて、一個一個かわいいデザインの個包装になっており、大人数に配るのにもってこいです。

そして夏の時期、岡山といえば白桃!

個人的には八百屋さんで買うのがおすすめ。 箱入りの贈答用だと一個1,000円とかするものもあります。

八百屋さんで買う場合、2個入りで600〜800円くらいの価格帯のものでも、十分美味しい桃に出会えると思います。

私がお土産に八百屋さんで買った桃はこちら。

▲ 清水白桃


直島に行く前、島で食べる用の桃を別の八百屋さんで買って食べたのですが、もう少し安い価格帯にして味がイマイチだったので、新幹線に乗る前にリベンジしてみたら当たりでした!

新幹線の西口を出ると、ディープな商店街「奉還商店街」がありますが、そのエリアにも八百屋さんがあります。

岡山駅周辺はカフェも充実していて、時間を潰せるエリアが一杯ありましたよ。

最後に


前編・後編にわたって直島で現代アートに触れた体験を書かせていただきました。
美しい瀬戸内海の景色と一緒に楽しむ現代アート。

「現代アートなんて理解できるのだろうか」と不安になる前に、まずは「アート作品にツッコミを入れてやろう」くらいの気軽さで気軽に足を運んでみるといいと思います★

そのためには誰かと一緒に観に行くのがオススメです。
もしかしたらそこから、新しい発見や興味の扉が開けてくるかもしれません!