【新潟】真冬こそ雪国の城に行こう!日本百名城「新発田城」の雪化粧
日本百名城・新発田城は、新潟県新発田市にある。
実質的に天守閣の役割を持っていた三階櫓(写真)は木造復元され、表門と二の丸隅櫓は現存し、重要文化財に指定されている。築城年代は不明だが、江戸時代は溝口氏が新発田藩6万石の城下町として治めた。
「雪国の城を見てみたい!」そんな急激に沸き上がった衝動を抑えきれず、神奈川の端っこ、浦賀から弾丸一人旅を決行したのである!
週末フリーきっぷを使い、お得に新発田へ到着!
忙しい毎日。土曜も仕事で日曜はグッタリ。そんな日々を無理矢理打破すべく、突如沸き上がった衝動を盛大に開放し、土曜の夜、仕事が終わった後に新潟へ向かう。
首都圏から電車を使って東北や長野、新潟に行くなら、週末パスがなかなかお得!新幹線や特急電車の特急券は別で買わないといけないけど、土日の二日間丸々無料区間を乗り降りできるし、仙台や新潟なら、特急券を買ったとしても、例え単に行って帰るだけでも、普通に新幹線切符を買うよりもお得になっちゃう、超便利なパス券なのだ。
(詳しくはJR東日本の公式サイトへ)
新潟でなるべく安いホテルを見繕って一泊。朝一番で新発田へ向かう。
ホテルのパンとコーヒーをのんびり頂いていたら、危うく電車に乗り損ねるところだった(苦笑)
地方都市での電車一本の乗り遅れは致命傷になりかねない……
新潟駅から約40分。新発田駅に到着!
新潟市内は雪が少なめだったけど、新発田へ近づくにつれ、地面に積もっている雪の量も増えてきた。雪国の城を見に来たのに、雪がなかったら残念すぎでしょ。新発田駅(写真)に降り立って、雪の量を見てちょっと安心。
小雪が舞う商店街を歩き、お城を目指す。徒歩25分くらい。ちょっと遠いかな(汗)
ただ、街角には通りや町の歴史の案内看板などがあり、退屈はしなかった。
歩いているうちに、だんだんと雪の降り方が強くなり、城に着くころには、(関東南部出身者の感覚では)吹雪になっていた。
新発田城冬季閉鎖!でも充分に堪能できる
新発田城は、冬の間表門(写真)は閉鎖されている。
表門は享保17(1732)年に再建された櫓門で、国の重要文化財に指定されている。
ちなみに、冬以外の季節は開門され、櫓の内部見学もできる。写真は初秋に撮影した、表門内にある新発田城主・溝口秀勝公の像。
表門の背後には、忠臣蔵で有名な堀部安兵衛の像がある。安兵衛は新発田出身なのだ。
って……折れた木の枝が引っ掛かって残念な感じに(悲)
これならどうだー!夕日を背にした忠臣!こうでなくっちゃ!
氷の張った水堀に沿って歩いてみる。
表門の右手、復元された辰巳櫓が真っ白で美しい。雪化粧でさらに綺麗に見える。
表門の左手、二の丸から移築された隅櫓は、表門と同じく重要文化財に指定されている。寛文8(1668)年の大火の跡に再建されたと伝えられている。
表門と、隅櫓、復元された三階櫓には、海鼠壁(なまこかべ)という珍しい特徴がある。
石垣の上、四角い白枠に黒の柄が連なっているのが海鼠壁で、壁面に平瓦を並べ、そこに白漆喰をかまぼこみたいに盛り付ける技法で、防火・防水の効果がある。城の海鼠壁現存例は少なく、石川県の金沢城がとくに有名だが、新発田城の海鼠壁も見事!
実質的な天守!復元三階櫓の雪化粧に大満足
そして、一番見たかった「天守の雪化粧」。
新発田城の三階櫓は、幕府には気を使って「あくまでも隅っこの櫓ですよ☆」と届け出ているが、実質は天守として機能していた。残念ながら明治の廃城令によりオリジナルは破却されてしまったが、史料に忠実に、木造で復元されている。
三階櫓は、新発田城に隣接する新発田公園の端っこから、水堀越しに眺めるのが一番なのだが、積雪がこんな感じなので結構難儀。
誰かの足跡を頼りに歩いていたけど、途中で諦めてしまったらしく、足跡はなくなり新雪そのものに。
ザクッザクッと一歩一歩雪に埋まりながら三階櫓に近づく。途中、たまたま埋まらないで雪の上を歩けたりして、仙人にでもなった気分になれたけど、やはり気のせいで、すぐまた埋まってしまう。
やっと到着!この感動!!
雪が無ければ15秒の所を5分近くかけて、ついに目の前に三階櫓を仰ぐ!
雪も、うんざりするくらい降りまくっている。
これだ!こうして「うんざり」しながら城の雪化粧を見るために、ここまで来たのだ!
寒くて手はかじかみ、カメラは結露、歩くの大変。トイレに行きたい。
雪の孤島で、最高の「うんざり」だ。
そして震える手でしっかりズームをして「あれ」を撮らねばらならない。ズームで写真を撮るときのコツは、「夜霜が降るが如く」静かに引き金……もとい、シャッターを押すことだ。どこかで聞いたことあるような話だけど……
何度かミスってからの!
この新発田城が唯一無二の城である証拠。そう、櫓の上の三匹の鯱(しゃちほこ)だ!
丁の字の屋根の各隅に、それぞれ鯱が乗っているのは、全国にも例がないそう。
なぜ三匹なのか。それは専門家でも解明できていない謎なのだ。
前に来た時の、西日を受ける新発田城(写真)も良かったけれど、やはり雪国の城には雪がよく似合う。
雪国の城、新発田城へ行ってみよう!
桜の季節もいいなぁ。そんな事を思いながら、(関東南部出身の感覚では)新発田城を後に、豪雪の中を歩く。
旧二の丸には、堀部安兵衛生誕地の石碑が設置されていた。忠臣蔵を大河ドラマへ!と題した幟が、雪の中はためいていた。
新発田には他にも、国指定名勝である清水園(写真)や重要文化財の足軽長屋、酒造など、見所が多い。
今回は弾丸旅だからでとんぼ返りしなければならなかったけど、別の季節、また機会があったら、月岡温泉にでも浸かりながら、ゆるりと旅したいなぁ。
雪景色のお城を見に行くガチ旅。そんな旅も、たまには良いかもしれませんよ!